『ウェビナー報告日誌 2021「Rural Skills」編 vol.5 ― 総復習 ―』

 

「GPとしてここまでは押さえておきたい手技や知識」について、毎回様々な分野の専門医の先生方から教えていただくためのウェビナー『Rural Skills』。

 

今回のテーマは、「総集編」ということで、この一年間を通じて学んだことの振り返りに重点を置く講義となりました。

 

 

 

 

今回は、研修生全員が講師を務め、これまでの講義の中でも「特に個人的に興味深く学んだこと」や「もう一度改めて復習しておきたいこと」などを題材に、各自が異なる回の講義から内容を抜粋・復習する形での発表となりました。

 

以下に、今回の講義から一部内容を抜粋してご紹介いたします。

 

 


 

 

急性腰痛で見逃してはいけないもの(外傷なし)

 

▷ 馬尾症候群

 

⇒ 膀胱直腸障害(頻尿・尿閉)。会陰部感覚障害の有無

 

「お股が熱くなったり、変な感じがすることはありませんか?}と、患者に質問するようにする。

 

 

 

▷ 感染(可能性脊椎炎・硬膜外膿瘍・腸腰筋膿瘍)

 

⇒「発熱」の有無

 

 

 

▷ 転移性脊椎腫瘍

 

⇒「夜間痛」、「癌の既往」、「体重減少」の有無

 

 

 

▷ 内因性疾患

 

安静時発症、時間や活動性に関係ない腰痛

 ⇒血管系疾患(急性大動脈解離など)を見逃さないよう注意!

 

「動いた時に痛い」という場合には筋骨格系の可能性が高いが、まったく関係ない時に痛むようであれば、血管系疾患の可能性を考慮した方が良い。特に救急外来では、見落とさないよう要注意。

 

 

 

 

仮面うつ病

 

 

「仮面うつ病」の定義

 

身体症状(頭痛や頚部痛、易疲労感)が前面に出て、精神症状の自覚に乏しいタイプがある状態を、「仮面うつ病」と言う。

 

 

 

診療の際に参考になるもの

 

表情や声量、抑揚などが乏しく、抑うつ状態であり、判断力、集中力の低下が見られ、自責感が強いような場合

 

 

対応として

 

  ・小刻みの休職は、復職への焦りから心身共に回復しづらい

  ・「休養することが今の仕事」だと伝える(生真面目な人が多い)

 

 

 

備考:

 

治療を受けたら良くなる場合が多く、「まずは3ヶ月」と伝えて治療を開始したりする。ただし、実際には治療に半年や一年以上かかるケースも少なくない。

 

 

 

自傷行為に対しての対応

 

 

・頭ごなしに「自傷をやめなさい」とは言わないようにする

 

 

・自傷行為により辛さが軽減しているため、受診時にはけろっとしていることがある

  ⇒陰性感情を見せず、「よく来たね」など労いの姿勢を見せる

 

 

・自傷の肯定的な面を確認し、共感を示すようにする

 

 

・エスカレートする懸念を伝える(心配しているよ)

 

 

・「もうしないって約束してね」と、無意味な約束をしない

  ⇒生真面目な人が多いため、余計な自責感を与えかねない

 

 

・自称していない時にも、患者に話を聞くようにする

 

 

 

 

急性膀胱炎について

 

▷ 特徴

 

  ・頻尿、排尿痛、残尿感を訴える

  ・発熱はない

 

 

▷ 治療

 

  閉経前 ⇒ セファクロル、オーグメンチン、またはST合剤 7日間

  閉経後 ⇒ セファクロル、CVA/AMPC 7日間  

        LVFX 3日間

 

  ESBL+ ⇒ ホスホマイシン 2日間

        ファロム 7日間

 

 

備考:

 

繰り返す場合は、排尿障害の有無をチェックし、残尿過多など何か異常があれば、泌尿器科の専門医に相談する。

 

 

 

 

尿路結石

 

▷ 疼痛に対する治療

 

  NSAIDs座薬/内服、ペンタゾシン点滴/筋注

 

 

▷ 尿管攣縮に対する治療

 

  臭化ブチルスコポラミン点滴/内服

 

 

▷ 手術適応

 

有症状後1ヶ月過ぎて排石されない場合、積極的治療介入を検討する

 

 

 

備考:

 

10mm未満の大きさであってもなかなか排石されないケースもあるため、サイズだけでなく期間や症状などから総合的に判断する。

 

積極的な外科治療としては、「ESWL(体外衝撃波結石破砕術)」や「TUL(経尿道的尿路結石除去術)」のほか、「PNL(経皮的腎結石破砕術)」が主な選択肢となる。

 

 

 

 

 


 

 

今回、講義の内容をただまとめ直して伝えるだけではなく、自分で改めて調べたことや経験談なども交えながらの発表となりましたが、やはり研修生同士、着目するポイントや観点に通じ合う物があるのか、それぞれがそれぞれの発表にとても興味深そうに耳を傾けている姿が印象的でした。

 

発表後の質疑応答と意見交換の時間も盛り上がりを見せ、和やかな雰囲気の中、第5期における『Rural Skills』が締め括られることとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

The Rural Skills, the webinar for people who aim at becoming rural generalists through the practical lessons from various veteran specialists, dropped a curtain without any mishap, the other day again.

 

Actually, it was the last round of this full-year sessions and we carried out a review of everything we had learned through the Rural Skills.

 

 

As the previous arrangement for this session, each of them had arbitrarily chosen one from all of the Rural Skills sessions and had re-edited it into short slide decks with summarizing its contents from their unique perspectives.

 

Then, every registrars made presentations. Fortunately enough, they finally were able to share the fruits and reinforced the knowledge with each other.

 

 

 

By the way, the final examination is to be conducted pretty soon. We hope everyone would pass it and this session must have been a good warm-up for the test.

 

 

 

 

 

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