『ウェビナー報告日誌 2022「Rural Skills」編 vol.1 ― 耳鼻科 ―』

 

総合診療医として押さえておきたい手技や知識について、経験豊富な専門医の先生から教えていただくためのウェビナー『Rural Skills』。

 

今回は、高野台いいづか耳鼻咽喉科で院長を務められている飯塚 崇先生を講師にお招きして、耳鼻科をテーマとした講義を行っていただきました。

 

 

 

 

以下に、今回の講義から一部内容を抜粋してご紹介します。

 

 


 

「喉が赤い」の診察ポイント

 

・扁桃炎(扁桃周囲膿瘍)、咽頭蓋炎、溶連菌感染症、ヘルパンギーナ、手足口病、伝染性単核球症などを診察しただけで見分けられるようにしておく。

 

 

・上気道炎(風邪)の咽頭後壁の発赤の度合いと咽頭痛の度合いは、相関しないことが多い。咽頭の発赤は初期に強くなるが、2~3日すると発赤は引いてくるが咽頭痛は残ることがある(舌咽神経痛)。

 

 

・リンパ濾胞が点状に発赤していることも多い。

 

 

 

 

「末梢性めまい」について

 

Q. 末梢性めまいに対して結局どの薬が効果があるのかわからず、最近は五苓散を処方しています。定期処方でアデホスを内服している方が多い印象もありますが、飯塚先生の印象で効果のありそうな薬があれがご教示ください。

 

 

A. 末梢性めまいの場合、薬よりも診断の方が重要。

 

 

診断により、処方が異なる

 

  BPPV:処方なし、または屯用でメリスロン、トラベルミン

  メニエール病:イソバイド、アデホス、メリスロン

  前庭神経炎:メリスロン、セファドール、ステロイド

  突発性難聴:ステロイド、メリスロン、アデホス、メチコバール

  PPPD:SSRI、めまいリハビリ

  加齢性前庭障害:めまいリハビリ

 

 

 

「耳に水が入ったような感じ」について

 

Q. 耳に水が入ったような感じが持続する方(潜水の仕事をしている)が受診され、もともと耳鼻科通院していたとのことだったため、リンデロン点耳薬を処方継続しました。他の症状は特になかったのですが、何か見ておくべき所見はあったでしょうか?

 

A. 

 

耳に水が入ったような感じ

 

  ⇒ 外耳道異物、耳垢栓塞、滲出性中耳炎、突発性難聴

 

 

 

今回の患者さんは潜水の仕事とのことで、仕事中に起こったものだとすれば「耳管狭窄」による「潜水性中耳炎」の疑いが強い。

  

  ⇒ 圧外傷による鼓室内出血や充血、発赤がないか確認する。

 

  ⇒ 聴力検査、Weber検査にて聴力障害がないか、感音難聴、伝音難聴を見分ける

 

 

 

備考:

 

潜水性中耳炎の場合、鼻が原因で耳管狭窄が起きている場合もあるため、「鼻」が悪い場合には並行して治療を行う。

⇒ムコダイン、ステロイド点鼻、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬など

 

 

 

「経鼻ファイバー検査」について

 

Q. 経鼻ファイバー検査をした後に鼻汁が一過性に増える、という体験をしました。

 

  ・このようなことはよくあるのでしょうか

  ・対応は、どのようにしたらよいでしょうか?

 

 

A. 鼻の刺激によるもので、一時的なものと思われる。ただ、酷いようであれば抗ヒスタミン薬の処方を行う。予防については難しい。

 

 

 

備考:

 

・大前提として、刺激性のもので鼻汁が増える人は結構多い。

 

・予防は難しいが、総鼻道に沿って直線的に入れ、鼻の壁になるべく当てないようにするとよい。また、左右どちらに入れるかも重要。なるべく広い方を選び、鼻中隔湾曲の凸ではない方に入れ、なるべく刺激しないことが大事。

 

 

 

 

 


 

 

今期以前までにも、飯塚先生には何度も講師としてお世話になっており、毎回詳しくも分かりやすい解説や指導を頂いてきましたが、今回は事前に予習した内容を基にした質問形式を軸にして講義が進められることとなりました。

 

知識も経験も豊富な耳鼻科医に気兼ねなく質問をぶつけられる機会は研修生にとっても貴重な機会だったようで、最初から最後まで多くの質問や疑問が飛び交うこととなった今回。そのすべてに具体的かつ実践的な解答を提示してくださった飯塚先生のおかげで、今回も非常に実りの多い時間となっていたようでした。

 

 

 

 

 

 

 

The Rural Skills, one of our regular webinars for improving skills and knowledges that are basically necessary for every GPs in rural and remote areas, was conducted the other day.

 

The main theme of the session was ENT and the registrars were taught about practical tips by Dr. Takashi Iizuka, an veteran ENT doctor.

 

 

Actually, the registrars had prepared his lesson by watching an archive of Dr. Iizuka’s lecture in the last year. Then, the session was conducted under Q&A session-style.

 

Although Dr. Iizuka had given lectures to the successive RGPJ registrars not once or twice, he had illustrated various topics in comprehensible way this time again.

 

 

All thanks to his sincere dedication to tutelage and their proactive participation in the session, every registrars seemed to have profitable time and learn as much as possible from Dr. Iizuka making the most of their limited time.

 

 

 

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