『ウェビナー報告日誌 2021「Rural Skills」編 vol.4 ― 整形外科 ―』

 

離島やへき地において役立つ実践的な知識や手技について、経験豊富な専門医の先生方から学ぶためのウェビナー『Rural Skills』。

 

今回は、上五島病院の副院長であり、ベテランの整形外科医でもある一宮 邦訓先生を講師にお招きし、「整形外科」をテーマに指導していただきました。

 

 

また今回の講義では、実際に離島においても日常的に遭遇する代表的な症例の一つとして「骨折」に焦点が当てられ、その診断方法や整復方法から治療法、固定方法などについて講義していただきました。

 

そんな今回の講義内容から一部を抜粋し、以下に紹介いたします。

 

 


 

 

橈骨遠位端骨折の治療

 

Q. 手術は絶対に必要か?

 

  ・高齢者では、変形が残っても臨床成績に有意差なし。

  (X線学的評価では、手術の方がよい)

 

  ・青壮年や活動性の高い高齢者は、手術療法を選択してもよい。

 

  ・関節内骨折では、2mm未満の転位は許容してもよい。

  (2mm以上では、変形性膝関節症のリスク増)

 

 

備考:

 

関節内骨折については、2mm以上の転位が認められた場合には、整形外科に紹介した方が、後々のリスクのことを考えると良いと思われる(特に若い人や活動性の高い人の場合には)。

 

 

 

 

固定方法のメリット・デメリット

 

副子固定

 

メリット

 

  ・簡単

  ・骨折でなくても使える

  ・腫れてもきつくならない

 

 

▷ デメリット

 

  ・固定性は期待できない

  ・保存が難しい

 

 

 

ギプス固定

 

▷ メリット

 

  ・固定性は断然よい

  ・整復後の固定に向いている

 

 

▷ デメリット

 

  ・ハードルが高い

  ・腫れるときつくなる

  ・カットが大変

  ・夏場はつらい

 

 

 

 

「シーネ固定」の要点

 

  ・適切なサイズを選ぶ

  ・上肢は「3~4号」、下肢は「4~5号」が目安。

  ・断端部が皮膚に当たらないようにする

  ・切った後は、しっかり口を閉じる

 

 

肘関節

 

基本90度屈曲位で固定する。前腕は中間位で。

 

 

関節

 

軽度背屈位で固定する。

MP関節が屈曲伸展できるようにする。

 

 

▷ 足関節

 

伏臥位で膝90度として固定する。

尖足・内がえしになりやすい。

総腓骨神経麻痺に注意する(腓骨頭を確認)。

 

 

 

 

「橈骨遠位端骨折」の整復

 

「麻酔」について

 

麻酔は、「腕神経叢ブロック(腋窩アプローチ)」が望ましい。

 

困難な場合は、「血種麻酔」を用いる。

(エコー/透視下に骨折部に針を刺し、血液が引けたところで局所麻酔を2mlほど。ただし、除痛効果は高くないため、あまり推奨されない。)

 

 

「整復」の手順

 

① 透視下に骨折部を確認。背側より両母子を当てる。

 

② 牽引しつつ、骨折部を両母子で掌側に押しながら骨折部を背屈させ、背側の皮質を合わせる。

 

③ 背側の皮質を合わせたまま掌屈させ、掌側の皮質を載せる。

 

 

 

 

 


 

 

指導医としても豊富な経験に加え、これまでにも何度もウェビナーでやワークショップで講師を務められたこともあり、実体験に基づく「これを知っておくと役に立つ知識やコツ」 を分かりやすく伝授してくださった一宮先生。

 

研修生が疑問を抱きがちなポイントや、治療や診察を行う上で見落としがちな注意点などまで押さえられた講義に、終始興味深そうに耳を傾ける研修生たちの姿が印象的な時間となりました。

 

 

 

 

 

 

The other day, we successfully conducted the webinar aiming at developing registrars’ knowledge and skills that is commonly required in rural and remote areas as GPs: the Rural Skills.

 

We invited Dr. Kuninori Ichinomiya, who is not only the assistant director of Kamigoto hospital but also an veteran orthopedist, for the session and he lectured about “orthopedics for GPs”.

 

 

 

In the lecture, Dr. Ichinomiya mainly focused at “bone fracture” and he shared a lot of tips on some basic but important realms, such as interpretation of X-rays, fracture reduction, bone anchorage, and so on.

 

Actually, he had constantly given lectures at our webinars and workshops up until now, as expected it seemed that his lecture was well-structured and easy-to-grasp for the registrars.

 

So, everyone have curiously listened to his lecture throughout the session, eventually.

 

 

 

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