ゲネプロとは

ゲネプロは、へき地医療の先進国、オーストラリアの州政府や学会、大学、指導医陣との交流を重ねながら2017年、オーストラリアへき地医療学会と提携を結び、「Rural Generalist Program Japan」を始動いたしました。

診療所に来られる患者さんの症状や疾患、全てにまずは対応しなくてはならない離島やへき地の医療機関。ここで日々働きながら、国内外の講師をむかえたオンライン研修やワークショップを受けることで、総合診療医としてのスキルを短期間でアップできる1年間限定のプログラムになっています。

研修修了後は、最大3ヶ月間、オーストラリアのへき地で研修を受けられるエレクティブ研修が付与されます。

離島へき地研修プログラム

国内外を問わず活躍できる “Rural Generalist(へき地専門医)” の育成を目指すプログラムです。

技術や知識、心構えに語学力の体得などはもちろん、キャリア形成の手伝いから現地での生活のコツの伝授まで、離島へき地医療という「専門分野」に従事する上で求められるあらゆるものを、多角的かつ総合的に提供します。

 

分野における最先端にあり続けているオーストラリアの仕組みや研修を参考にし、実際に国内外の第一線で活躍している現役医師からサポートやアドバイスも受けられるほか、12ヶ月間の基礎研修を修了した暁には、海外での実地研修を含む3ヶ月間の選択研修に進むことができます。

研修プログラム

「親父の背中」プロジェクト

島根県益田市医師会とのパートナーシップの下に生まれたプロジェクトであり、「総合診療医に必要な技能の獲得および強化」を図る内容となっています。

「診療の幅を広げたい」、「弱点を強化したい」、もしくは「将来的に開業医を目指したい」という方、あるいは「山陰地方の出身」、または「田舎が好き」という方にも適したプログラムです。

 

午前中に医師会所属の開業医の下で学び、午後からは医師会の基幹病院にて総合内科の入院診療を実地研修する流れが、基本的なプログラム構成となります。なお、開業医の下で受けられる研修は、10以上の診療科から参加者の任意で選択できます。

親父の背中プログラム

代診医システム (準備中)

「離島へき地」と「都市部」との相互サポートプログラムとして、機能します。

離島へき地で働く医師が必要とした時にリフレッシュや自己研鑽できるように、代診医を派遣してサポートするシステムで、緊急代診の要請も可能です。

 

都市部の医師が離島へき地で短期間の研修を受けたり、故郷やお世話になった地域をサポートするプログラムも用意しています。

代診医システム

プログラム設立の背景

学生時代に離島やへき地、海外や途上国での医療に憧れを持った方は多いはずです。しかし悲しいかな、その憧れは医師として経験を積んでいくにつれ、薄れてしまうのも事実。現場の忙しさや結婚、出産にともなう変化、離島や海外に飛び込むことへの不安など、多種多様な要因が夢への障壁となっているのかもしれません。

今回、そのような夢の実現をサポートすべく、日本の離島へき地医療を牽引してきた指導医陣と、世界のへき地医療をリードするオーストラリアの指導医陣がタッグを組み、2017年4月より「日本版 離島へき地プログラム:Rural Generalist Program Japan」が7名の研修生とともにスタートしました。

 

‘Rural Generalist’は、広大な国土に多くの医療困難地域を抱える、オーストラリアで生まれたへき地医療に資する医師の概念であり、資格です。

GP(General Practitioner)として診療所で働きながら、全身麻酔をかけたり、外科手術や緊急の分娩に対応したり、ある時はフライングドクターとして患者搬送を行うなど、オーストラリアのへき地で活躍しています。バックグラウンドは、総合診療医・救急医・麻酔科医・外科医・産婦人科医など様々ですが、2005年より本格的な研修プログラムとしてオーストラリアのクイーンズランド州で確立され、いまや競争率の高いブランド化されたプログラムとなっています。

 

オーストラリアへき地医療学会(ACRRM Australian College of Rural and Remote Medicine)をはじめとし、オーストラリア総合診療学会(RACGP Royal Australian College of General Practitioners)のへき地医療部会(National Rural Faculty)、オーストラリアへき地医師会(RDAA Rural Doctors Association of Australia)、へき地医療でオーストラリアをリードするJames Cook Universityの多大なるサポートにより、日本版プログラムのスタートに至りました。

このプログラムが、若い頃みた夢の実現に、また離島へき地の医療を充実させる一助となるよう努力していく所存です。

 

Rural Generalist Program Japan, Founder / Program director  齋藤 学

離島へき地医療の先進国 オーストラリア

現在、豪州のへき地医療は、Rural Generalist が支えています。

Rural Generalistとは、GP(General Practitioner)として診療所で働きながら、必要とされれば手術室に入り、緊急の分娩に対応したり全身麻酔をかけて外科手術を行ったりします。

 

またあるときはフライング・ドクターとして患者搬送を行うなど、診療所にとどまらず幅広い疾患に対応する医師を指します。バックグラウンドは総合診療医、救急医、麻酔科医、外科医、産婦人科医などさまざまです。

同国では、10年前にRural Generalist育成の本格的な研修プログラムが確立され、今や “ブランド化” された専門医として研修医の間で確固たる人気を博すとともに,多くのRural Generalistが豪州全土で活躍しています。

 

それ以前の豪州のへき地医療はというと、外国人医師を配置して医師の偏在を解消していました。しかし豪州の保健省は、2003年に外国人医師の質の低さを指摘し、州政府の担当者を解雇しました。

すると、解雇されたこの担当者は、自国の医師によるへき地医療の質改善に向け奮起したのです。へき地で長年働く医師たちと力を合わせて豪州出身の医学生を必死にリクルートし、独自の育成プログラムを構築しました。

 

それこそが、2004年に誕生したRural Generalist育成プログラムです。

オートラリア

オートラリア

ゲネプロのミッション

  • 総合医にとっての「メジャーリーグ」である離島へき地にて、期間限定のトレーニングを積み、足腰のしっかりとした医師を育成する。
  • 実力と志を兼ね備えた医師による全国的なネットワークを形成し、応援診療等、離島へき地への強力なサポート体制を構築する。

ゲネプロのビジョン

  1. 離島・へき地で働ける医師になること
  2. 離島・へき地で働ける医師を育成すること
  3. 離島・へき地で働ける医師を支援すること

この夢を実現する場としてゲネプロを仲間と作ろうと考えました。学生時代には「いつかアフリカに行ってみたい!」なんて夢も、医師になってからは恥ずかしくて言えない、そんな経験ありませんか?

 

そんな夢をもう一度仲間と一緒に叶えませんか?我々はそのために、日本のへき地や離島で足腰のしっかりした医師になることが大前提であると考えています。

ゲネプロのネーミング

ゲネプロとは、

「舞台芸術やクラシック音楽の本番の直前に行われる最後の全体リハーサル」

を意味するドイツ語の『Generalprobe』(ゲネラルプロ―べ)を略した言葉です。

 

我々は、その言葉の綴りにかけて、この「ゲネプロ(genepro)」という名前に、

  • Generalprobe =「舞台本番直前の最終リハーサル」
  • General Practitioner =「総合診療医」
  • Genuine Professionalism =「正真正銘のプロ意識」

これら三つの理念を込めました。

 

  • 『離島・へき地を “最終リハーサルの場” とし、地元の地域医療に貢献する』
  • 『離島・へき地でも通用するような、技術と心構えを身に付けた “総合診療医” を育成する』
  • 『真摯な志や信念に基づいた “真のプロフェッショナルとしての意識” を涵養する』

 

この理想と目標を単なる絵空事に終わらせることなく、必ず現実にしてみせるという決意の下に、「ゲネプロ」という言葉を社名に戴くこととしました。

 

 

震災の時は多くの医療者が集まる。
離島やへき地で医療者が倒れたら、全国から応援に来る。

そんな同志を集め、日本の離島へき地医療を、住民の方はもちろん、医療者にとっても安心したサポートができるよう、1歩1歩歩んでいきたいと考えております。

2014年9月10日
齋藤 学