プログラム概要
日本の離島へき地で実際に研鑚を積みながら、遠隔指導をうけられる体制を敷いています。
オーストラリアや日本の指導医による各種レクチャーに加え、専任講師による英語を中心とした「語学力強化プログラム」も用意し、 オーストラリアの医療現場で通用する語学力および国際学会でに質疑応答に対応できる語学力の習得を目標とします。
研修終了後には「オーストラリアへき地医療研修」や「グローバルヘルス研修」の期間を設けています。
日本の離島へき地で培った臨床能力や語学力をオーストラリアのへき地やネパール(チョウジャリ病院)等 で思う存分発揮していただきます。
なお、このプログラムはオーストラリアへき地医療学会(ACRRM)のプログラム認定を受けており、研修終了後の行われる各種試験に合格した後には「Certificate of Rural Medicine」が授与されます。
オーストラリアへき地医療学会(ACRRM)公認
年々、世界各国でその重要性に対する認識が高まりつつある「離島へき地医療」。オーストラリアは、同分野において長年に渡り世界の最先端に在り続けており、多くの国々から手本にされてきました。
オーストラリアへき地医療学会(ACRRM)」は、そんなオーストラリアにおける離島へき地医療をけん引する団体であり、体系的かつ実践的な教育プログラムや研修コースの構築と提供にも注力しており、離島へき地医療教育の普及に尽力しています。
ゲネプロの提供する「離島へき地研修プログラム(Rural Generalist Progaram Japan / RGPJ)」は、日本初にして国内で唯一、同学会からの認定を受けたプログラムであり、様々な面においてACRRMによる手厚いサポートを受けています。
プログラムの流れ
国内離島へき地研修Domestic Training
12ケ月
-
ポイント
知識・手技の強化 (Medical Knowledge & Skill Training)
オーストラリアのへき地専門医とのオンライン・ディスカッションや来日時のワークショップ、または日本人講師によるオンライン・レクチャーを用意しています。
-
豪州の指導医(GP Road Map)
オーストラリアの離島へき地医療が世界に認められる成果を遂げた背景には、医師偏在、医師不足等、いまの日本と同じような問題を抱えた歴史があります。
試行錯誤を繰り返しながら、画期的なへき地医療教育制度が立ち上がり、へき地で闘う総合診療医をいまも輩出し続けています。
その教育現場に長年携わってきたロナルド先生から、総合診療の真髄をわかりやすく指導していただきます。1回/月
-
世界の指導医(Be a Better Doctor)
日常診療の疑問点をオーストラリアのへき地専門医とディスカッションし、Rural Medicineのゴールドスタンダードを探ります。
-
Case Based Discussion Webinar with Specialists
毎回1つの診療科に的を絞り、各科を専門とする指導医とともに実際の症例を検討しながら、技術と知識の強化を図ります。
1回/月
-
ワークショップ(Rural Skills Workshop)
オンラインでは身につかない「Skill」を集合型ワークショップで補います。
オーストラリアのへき地医療コースを年2回日本で開催します。2回/年
-
-
ポイント
英語力の強化 (English Training)
専任講師により、学会での質疑応答や回診で議論ができる英語力を身につけます。
-
ポイント
研修の評価 (Assessment)
オーストラリアへき地医療学会(ACRRM)の評価方法に基づいたフィードバックを行います。
-
現地訪問(Clinical Visit)
- 臨床評価(MiniCEX)
- 診察の場面を実際に指導医が観察することで、その人の知識や技術、コミュニケーション能力や臨床判断などを総合判断できるツールです。
- 症例検討(Case Based Discussion)
- 症例をピックアップして指導医と議論します。
4回/年
-
振り返り(Peer Conference and Feedback)
指導医やメンターと、月一回の振り返りをオンライン上で行います。
1回/月
-
海外学会(Overseas Conference)
下記オーストラリア等のへき地医療関連の海外学会に参加し、英語での学会発表の機会を設けます。
1回/年
-
選択研修Elective Training
3ケ月
-
ポイント
海外短期研修 (Overseas Elective Training)
1年間の研修終了後には、短期留学(1-3ケ月)が可能で、下記施設の組み合わせは自由です。
-
オーストラリア(クイーンズランド州)へき地医療研修(Queensland Based Rotation For JRGs)
クイーンズランド州と契約を交わした結果、州政府のサポートを受けながらのへき地医療研修が可能となりました。
エメラルド、ロングビーチ、サーズデイアイランド等、へき地医療で有名な病院や、ロイヤルフライングドクター(RFDS)、遠隔医療システム(Tele-Medicine)の視察などの研修が用意されています。
※オーストラリアでの臨床を希望する場合には、言語能力など諸条件をクリアする必要があります。 -
グローバルヘルス研修(Global Health Elective)
ネパール、モンゴルなど、医療資源の整備されていない地域での研修が可能です。
-
-
ポイント
国内短期研修 (Domestic Elective Training)
特に強化したい専門分野(産婦人科、麻酔科、整形外科など)の短期研修をアレンジします。
研修終了後
研修病院
-
上五島病院【長崎県】
http://www.kamigoto-hospital.jp/
内科 定員:2名
整形外科 定員:1名
診療所 定員:1名内科系・外科系・診療所コースに別れて、専門的な研修を行います。診療所での総合外来、救急外来、訪問診療、健診などは全員で担当します。
長崎か佐世保から高速船で100分。手つかずの美しい静かな島の上五島。186床の上五島病院を核として、2つの附属診療所、老健施設があり、急性期から慢性期、在宅医療までを学ぶことができます。内科は、総合診療をベースにした消化器、呼吸器、循環器のサブスペシャリティーを持つ指導医がいるため、教育も充実。外科は、コモンな症例(虫垂炎、ヘルニア、骨折、脱臼整復、分娩など)に対応できることを目指しています。離島医療の大変さを楽しさに変えて、生き生きと働く八坂貴宏院長はよきロールモデルです。
-
島田総合病院【千葉県】
http://www.shimada-hsp.or.jp/
定員:4名千葉県銚子市の200床の民間病院を舞台に内科・外科・小児科・産婦人科・救急・麻酔の6本柱を学び、離島やへき地に行く前の基礎固めのトレーニングとして、12ヶ月間じっくり横断的に6科目を学びます。醤油が香り立つ銚子の、市民の健康を80年にわたり見守ってきた病院です。創立者の嶋田隆氏は銚子市長を7期務め市政にも貢献をしてきました。教えは「職員を家族と思え」。必死で頑張っている研修医に、スタッフは神対応で支えてくれます。東京から特急で90分。真っ青なキャベツ畑と優しい潮風、そして温かくフレンドリーな職員が出迎えてくれる病院です。 -
大井田病院【高知県】
http://www.ooida-hp.net/
定員:2名総合外来から病院総合診療、在宅医療、健診を通して、へき地医療の真髄を学ぶコースです。
愛媛県との県境にある高知県宿毛市は、だるま夕日が見えるほど冬には空気が澄むところとして知られています。日本有数の透明度を誇る沖の島までは、船で90分。海と山、川に囲まれた大自然豊かな地域です。代々外科医が院長を務めていることもあり、外来には、整形外科や形成外科、皮膚科、眼科、耳鼻科疾患が多いのも特徴。加えて、希望者には、乳幼児健診も含めた小児科診療や、内視鏡も丁寧に学べると評判でもあります。100年以上地域に愛された病院で「医療」と「自然」にどっぷり浸かれる環境は、外科系の技術を磨くにはぴったりです。
-
益田地域医療センター医師会病院【島根県】
http://hp.masuda-med.or.jp/
定員:2名益田市医師会に所属する開業医とも密接に連携し、総合診療医として必要な技能を総合的に強化・体得できる研修を実施します。
海と山、そして川に囲まれる自然豊かな島根県益田市において、地域医療の中核を益田市医師会。会員同士の連携は密であり、その確かな結束力は研修プログラムにも間違いなく反映されています。医師会病院でのベテラン医師による手厚い指導に加え、地元の開業医の下で多彩な診療科について実践的な研修を受けられる点も、同医師会ならではの強み。自身の診療の幅を広げ、弱点を克服する中で、へき地医療の何たるかをも学べる理想的な環境です。
-
匝瑳市民病院【千葉県】
http://www.sosa-hp.jp/
定員:1名千葉県北東部に位置する匝瑳市は、美しい海外の九十九里浜や雄大な利根川を擁し、広大な農地と里山に囲まれた豊かな自然環境に恵まれた地域です。
その匝瑳市の医療を支える匝瑳市民病院では、院長自らが率先して外来から検査、手術までをこなしているほか、外科、内科、整形外科の常勤医の計8名が一丸となって日々の診療に取り組んでいます。平均年齢50歳を超える経験豊富な指導医陣に加え、医師会と連携した在宅医療には長年の実績があり、医師が少ない分だけスタッフも親切で丁寧で、非常に働きやすい病院です。
チーフ・メンター
(Chief Mentor)
-
Dr. Takuya Yamaguchi
チーフメンター
離島の麻酔を一手に引き受けながら、時には外科の手術にも入る麻酔科専門医。離島へき地での安全な全身麻酔のかけ方、および神経ブロック等の技術指導を主に担当する。
学習アドバイサー
(Learning Advisors)
-
Dr. Ronald McCoy
FRACGP
Senior Education Strategy Advisor, RACGP
へき地と都市部のそれぞれで、GPとして20年間従事したのち、オーストラリア総合診療学会の医学教育部門の一員に抜擢される。カリキュラム構築に造詣が深く、トレーニング&コンピテンシー・デベロップメント(Training & competency Development)の認定にも携わる。メルボルン在住。2013年からは日本語学習にも励み、毎年日本を訪れる。RGPJのウェビナーでは、総合診療のレクチャーシリーズ(GP Road Map)を担当する。
-
Jasmine Millman
Master of Dietetics Deakin University
Dietitian
Assistant Language Teacher
オーストラリアのアボリジニーの集落に住み、栄養管理の研究をする経験を持つ。秋田の英語教員を務めたのち、琉球大学大学院にて長寿の栄養学を研究している。
スーパーバイザー
(Be a better doctor)
-
Dr. Ewen McPhee
FRACGP, DRACOG, FACRRM, DPDermatology
Rural GP obstetrician
President, Rural Doctors Association of Australia
Emerald Super Clinic, Emerald Hospital
クイーンズランド州エメラルドにて20年以上も診療し続ける。外来診療の他に、帝王切開や外科手術、皮膚がんの切除もこなす人格者。2015年秋よりオーストラリアへき地医師会会長を務める、オーストラリアのへき地医療界の看板ドクター。2015年8月に来日し、福岡、徳之島での講演では好評を博した。趣味は自家用飛行機でツーリングに行くこと。
-
Dr. Sam Jones
FRACGP, FACRRM
Rural Generalist / Thursday Island
Director, ROCKET+SHIP Pacific
Former MSF(Medecins Sans Frontieres) officer
オーストラリアの北の離島、サーズデイアイランド(木曜島)で働く。病院の目の前にあるヘリポートで周辺離島からの患者を受け入れている。イギリスでGPトレーニングを受け、オーストラリアのへき地勤務を希望し移り住んだ。MSF(国境なき医師団)の一員としてスーダンで医療経験がある。バヌアツのサイクロン襲撃の支援経験もあり、GPのみならず、災害やグローバルヘルスに強い。ROCKET+SHIP pacificのスタッフドクターとして定期的にバヌアツ支援をしている。
-
Dr. Lachlan McIver
FACRRM
Rural Generalist / Public Health Practitioner
A / Professor James Cook University / Tropical Medicine / WHO officer south pacific
Director, ROCKET+SHIP Pacific / ACRRM Scientific commitee
現場で働くGPからグローバルヘルス・公衆衛生といったアカデミックな分野までこなす若手のロールモデル。
ROCKET+SHIP pacificというNPOを立ち上げ、バヌアツ共和国および東ティモールの研修医教育に力を注いでいる。
-
Dr. Tim Leeuwenburg
FRACGP, FACRRM, DRANZCOG
Rural Procedualist
Kangaroo Island Health Service
オーストラリアの南に位置するカンガルーアイランドで働く。麻酔および救急を専門としたGPで、午前中はクリニックで外来診療、午後からは病院で救急対応や手術室に麻酔科医として入る。アデレードに基地を構えるMedSTARのフライングドクターとしても勤務する。緊急気道確保コースなど展開するへき地医療界のスーパードクターとして知られる。
クイーンズランド州政府
(Queensland Based Rotation)
-
Dr. Dilip Dhupelia
Director, Queensland Based Rotation For JRGs
クイーンズランド州のへき地医療部門(Queensland Country Practice)における絶対的なリーダー。GP Obstetricianとして25年間へき地医療に従事したのち、同州政府の中心メンバーのひとりとして、クイーンズランド州のへき地医療プログラム(Queensland Rural Generalist Pathway)を構築した。日本人研修生の受け入れにおいて、同州政府側の代表窓口を務めている。根っからのラグビー好きであり、ラグビーW杯観戦は欠かさない。