『ウェビナー報告日誌 2020「Registrar’s Lecture」編 vol.2 ― 情報整理と情報収集 ―』

 

日々の診療や研修を通じて得られた経験や知見について、研修生自らがプレゼンテーション形式で発表し、互いに貴重な情報の共有を図る『Registrars’ Lecture』。

 

今回の発表者を任されたのは大井田病院にて研修中の松原先生ですが、先生が発表のテーマに取り上げたのは何かの疾患や症例などではなく、「情報整理術」という一風変わった面白い題材でした。

 

 

 

 

職業柄、ただでさえ日頃から覚えることの多い「医者」ですが、限られた期間の中で専門外にまで及ぶ幅広い知識と技術の習得が要求されるゲネプロの研修生たちは、更に輪を掛けて多種多様な情報に日々身を晒され続ける環境にあると言えます。

 

「記憶力にはあまり自信がない」という松原先生は今回、国内でも愛用者の多いメモアプリ『Evernote』を駆使した “松原流” とも言える情報整理術に加え、良質な情報を収集するためのコツについても披露してくださいました。

 

 

そんな講義の内容から一部を抜粋して、以下に紹介いたします。

 

 


 

 

 

なぜ『Evernote』が必要なのか

 

医学的な情報に溢れ返っている世の中で、専門分野外のことまで覚えなくてはならないゲネプロ研修医のような存在には、「整理する力」と「圧倒的な記憶力」が求められる

 

一方で、膨大な量の情報を適切に整理し、またそれらをすべて完璧に記憶に留めておくことはとても難しいため、いつでも参照できる自分だけの参考書のようなものを持っておくことが重要。

 

 

しかしながら、ただのメモ帳やノートでは、情報の検索性や視認性が乏しかったり、記録した内容の編集能力に欠けていたりするため、情報が目まぐるしくアップデートされていく医療の世界についていくことは難しい。

 

そこで、情報の「記録」と「編集」、「検索」や「閲覧」、「共有」に秀でた『Evernote』を活用して自分だけのデータベースを作り上げることで、いつどこででも必要な情報を簡単に取り出せる “第二の脳” として肌身離さず持ち歩くことが可能となる。

 

 

 

 

『Evernote』と上手に付き合うための4箇条

 

 

1.すぐに作る

 

未完成用ノートブックを作り、とりあえずそこに中途半端な状態のノートをどんどん入れてしまう

整理やまとめの作業は時間のある時に行うが、あまり未完成ノートを溜め込んでしまわないように要注意。

 

同様に、ノートに保存しておきたい良い図や資料を見つけたら、「後でまとめてやろう」ではなく、すぐにその場でスキャンアプリなどを利用してノートに貼ってしまうのが吉。

 

最初は少し大変かもしれないが、ノートの量がある程度以上になってくると、例えば何かの勉強会に参加した時なども、既存のノートに新しい情報を幾つか追記するだけで済んでしまったりと、後々とても楽になるためおすすめ。

 

 

 

2.時間をかけない

 

とにかく未完成でもブログのコピペだけでも何でも良いから、とにかく「ノートを作る」ということを優先する。

 

作成したノートの整理は時間がある時に行えば良いと割り切って、ノートを作るという行為になるべく時間をかけないようにすることが継続のコツ

 

 

 

3.見やすく

 

自己満足の領域でまったく構わないので、図や記号、装飾機能などを利用してなるべく「見やすい」ノートに仕上げる

 

自分にとって見やすいノートに仕上がっていると、折に触れて見返す気にもなるため、結果的にノート運用を継続するためのモチベーションにもなるため、おすすめ。

 

 

 

4.検索方法に一工夫

 

ノートを作成・整理した段階で、なるべく他のノートへのリンクを貼ったり、きちんとフォルダ分類やタグ付けを行っておくと良い。

 

後々に「検索に手間取って探していた情報を見つけられずに終わる」と言ったような面倒臭い事態に陥らずに済むようにもなるため、少し手間は増えるが、最初にちょっとだけ苦労してでもやる価値あり

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログは「良き指導医」

 

一昔前までは、医療系のブログはどこの誰が書いているか分からないようなものも多く、情報の信頼性に欠けるものばかりだったが、近年になって状況は改善。

 

有名な先生など、信用も経験もある人が書いているブログも増えてきており、そういった優良なブログを優秀な情報源として活用することで、情報収集の効率化を図ることができる。

 

 

松原先生おすすめのブログやサイト

 

 M3.com

 

 CareNet

 

 Hospitalist~なんでも無い科医の勉強ノート~

 

 栃木県の総合内科医のブログ

 

 西伊豆健育会病院 早朝カンファランス

 

 洛和会丸田町病院 救急総合診療科 非公式HP

 

 EARLの医学ノート

 

 燃えるフィジカルアセスメント

 

 

RSSリーダーを上手に利用することで、新たに情報の更新があった時だけブログやサイトをチェックすれば良くなり、情報収集の更なる効率化を図ることが可能となるためおすすめ。

 

ただし、あまりに多くのサイトをRSSリーダーに登録してしまうと、情報を追い切れなくなってしまい逆効果となるため要注意。

 

 

 

医療系アプリや電子書籍の活用

 

最近は、医療系のアプリも充実しているため、有用なものや自分に必要なものを選んでスマホやタブレットにインストールしておくと、困った時などにすぐに確認することが可能で非常に便利。

 

また、医療関連の書籍を「電子書籍」として所有しておくことで、いつでもどこでも端末さえ手元にあれば必要な情報の検索や参照が可能となるため、これもまたおすすめ。

 

 

松原先生おすすめの電子書籍ストア(アプリ)

 

 M2PLUS(Webサイト)

 

 M2Plus Launcher(Android)

 M2Plus Launcher(iOS)

 

 

 

 


 

松原先生曰く、これまでにコツコツと作り上げてきたノートの数は既に「3,000」を超えているとのことで、こまめに分類・整理されたそのデータベースは、まさに松原先生にとっての “第二の脳” と呼ぶに相応しい存在となっているようです。

 

研修生のほとんどが大なり小なり『Evernote』を使った経験があるということもあってか、馴染みのあるツールを活用した見事な情報整理術に感銘を受けつつ、とても興味深そうに話に耳を傾けている研修生たちの様子が実に印象的な回でした。

 

 

 

 

 

 

The Registrars’ Lecture is one of our regular monthly webinar for mutual sharing of  informative information and experience among the RGPJ registrars. And, yesterday was the day of its session for this month.

 

In the session, Dr. Matsubara made a presentation and talked about his original methods of organizing information with Evernote application. To say the least, he is a master of Evernote and he shared many tips on how to organize a mountain of information that they have to learn as a GP with the application.

 

 

According to him, the total number of notes that he had added to his Evernote currently reached over 3,000!!

 

Actually, every notes was skillfully organized by him and each of them were systematically linked, so his Evernote had literally been turned into a kind of huge database of healthcare yet. “Evernote could be your SECOND brain“, he said in the lecture.

 

 

As a matter of fact, doctors are tend to be required to memorize a lot of medical knowledge and update those with the latest information frequently. In this context, GPs have to cover a much broader area of information since they have to store the knowledge and master skills outside their field, too.

 

So, every registrars listened attentively to Dr. Matsubara from first to last. Finally they adequately understand the value of Evernote and increased their interest in creating their own “second brain”.

 

 

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