『ウェビナー報告日誌 2021「GP Road Map」編 vol.3 ― ジェネラリストのための高齢者ケア ―』

 

長年にわたりオーストラリアのへき地で活躍されていたベテランGPのロナルド先生から、豊富な経験値に裏付けされた実践的な知識や手技を教えていただき、総合診療医としての実力に磨きをかける『GP Road Map』。

 

今回の講義では、過疎化と高齢化が進み、医療資源も乏しくなりがちな離島やへき地において、しばしばより重大な問題となりやすいと言える「高齢者ケア」をテーマに、オーストラリアでの事例を紹介しながら講義していただきました。

 

 

 

 

日本でも加速する高齢化が大きな社会問題となって久しいですが、同様にオーストラリアでも高齢化の問題は年々その重大さを増しているらしく、今回の講義を通じては、基本的な考え方から実際的な対処法まで、広く「高齢者ケア」について伝授されることとなりました。

 

そんな今回の講義から内容を一部抜粋して、以下に紹介いたします。

 

 


 

 

高齢者における「転倒」

 

▷ 包括的な高齢者ケアには、「転倒予防」を含む

 

転倒の少なくとも5%が骨折(特に橈骨遠位端骨折、大腿骨頭部骨折)を招く。死亡率は高い。

 

 

▷ 転倒における最も重大な臨床的リスク因子

 

  視力障害

 

  ・全身の機能低下

 

  ・起立性低血圧

 

  ・聴力障害

 

  ・モラルの低さ・うつ病

 

  ・薬物使用(特に鎮静剤)

 

  ・関節炎を含む下肢の筋力低下

 

  ・バランスや歩行の障害

 

 

 

転倒予防の原則

 

 

▷ 管理・予防は、医学的障害やリスク因子の是正を含む

 

  懸念する患者を、作業療法士・理学療法士を含む多職種チームに紹介する

 

  歩行補助、住宅内の危険制御、薬物の減量を含む方策を練る

 

 

備考:

 

高齢者の健康増進を目的としたプログラムがある場合には、そのプログラムについて理解した上で、ガイドラインに従うことが重要となる。

 

 

 

 

協力的でない高齢患者における7のルール①

 

▷ 高齢者の非特異症状

 

  ・混乱

 

  ・眠気

 

  ・集中力低下

 

  ・無関心

 

  ・疲労 / 衰弱 / 倦怠感 / 無気力

 

  ・食思不振

 

  ・嘔気

 

  ・体重減少

 

  ・呼吸困難

 

  ・硬直、躓き、転倒

 

 

備考:

 

上記に加え、肺炎を含む感染および症状が表出していない可能性も考慮する

 

 

 

協力的でない高齢患者における7のルール②

 

 

▷ 指示に従わない高齢患者を評価する7つのルール

 

精神状態 混乱・認知症、うつ病、遺族の悲しみ(ペット含む)、高齢者の虐待・いじめ
視力、白内障、緑内障
難聴(例:耳垢)、耳鳴り
歯列、口腔乾燥症、栄養失調
薬物 ポリファーマシ-、副作用
排尿・排便 失禁、尿閉、尿路感染
歩行運動 有痛性歩行、運動性疾患(特にパーキンソン病)、腰膝の関節炎、背中・座骨神経痛、足・爪、神経障害、循環、下肢潰瘍

 

 

備考;

 

上記は、年配の方によく見られる原因で、特に高齢者の中でも身体が弱っていて、コミュニケーションが取れない人によく見られるため、これらの症状には特に注意が必要。

 

 

 

 

高齢者ケアのリソース・ガイドライン

 

 

 


 

 

一口に「高齢者ケア」と言っても、その言葉の及ぶ範囲は内科や外科、整形外科に皮膚科をはじめとする様々な科を横断し、果ては精神科などまでを含むほか、高齢者特有の症状や特徴などに関する知識をも求められるため、まさに非常に ”総合診療的” とも言える「高齢者ケア」の分野。

 

実際に高齢社会化の進んだへき地で研修を行い、普段の診療においても多くの高齢の患者さんと接していることもあり講義の内容には色々と感じるところがあったのか、研修生の先生方も、いつにも増して真剣な眼差しでロナルド先生のお話に耳を傾けられている様子が、とても印象的な回でした。

 

 

 

 

 

 

The other day, we fortunately conduct  the GP Road Map, one of our regular monthly webinars that focuses on studying about principal of the general practice by Dr. Ronald McCoy.

 

In this session, Dr. McCoy, a veteran GP in Australia, talked about “aged care for generalists”. He shared a broad swath of knowledge and tips that he had obtained over time with the registrars.

 

 

 

Actually, the “aged care” covers wide range of field, such as from surgery or internal medicine to psychiatry and so on, so it could be said that aged care is highly “general practical” field.

 

In fact, GPs would be required to attain a variety of knowledge on symptoms or treatments unique in elderly people and utilize it in the actual medical examination.

 

 

Dr. McCoy taught the registrars not only basic knowledge and skills but also important mental sets and attitudes in the practice of aged care through the lecture.

 

As they daily examine a lot of aged patients, every registrars seemed to be more interested in the topic as the lecture went on and finally listened at Dr. McCoy in earnest as personal matter.

 

 

 

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