『RGPJワークショップ夏~セルフケア&特別レクチャー編~』

2018/08/01

RGPJワークショップ1日目の後半戦は、RACGP(オーストラリア総合診療学会)で長年GP教育に携わってこられたロナルド先生のレクチャーで幕開け。

 

 

これは離島やへき地に限った話ではありませんが、「医者がハッピーじゃないと患者さんもハッピーにならない」なんてフレーズは、よく耳にしますよね。

 

でも、「じゃあ、それを本当に実践するには、どうしたら良いのか?」と問われると、言葉に詰まってしまう人も多いのではないでしょうか。

 

 

今回のロナルド先生には、そこに焦点を当てたワークショップをしていただきました。

 

 

 

ワークショップを開始するや否や、おもむろに蜂蜜をたっぷりかけた薄切りのりんごを、参加者ひとりひとりに配り始めたロナルド先生。

 

何事かと驚きと好奇心で目を丸くしながらもりんごを受け取る皆を尻目に、先生は語ります。

 

 

 

これは、ユダヤ教の新年のセレモニーの一環だそうです。「辛いことがあっても、この甘い蜂蜜を舐めて頑張ろう」という意味合いが込められているそうなのですが、このりんごを切っ掛けにして、ユダヤの歴史とレジリエンスとを上手に絡めたお話をしてくださいました。

 

本当はもっと素晴らしい話だったのですが、上手く言葉にできず、ロナルド先生には申し訳ない限りです(汗)。

 

 

なお、「レジリエンス」という概念は、ユダヤ人の大量虐殺行為「ホロコースト」の一環として行われた孤児への追跡調査が切っ掛けで広まったと言われているとのことです。

 

 

元孤児の中には、過去のトラウマや恐怖の記憶から立ち直れず、生きる気力を見いだせずにいる人々がいる一方で、トラウマを乗り越えて生きる気力を見出し、幸せに生きている人々もいることが判明しました。

 

逆境を乗り越えられた人々には、「状況に応じて生き抜く回復力」と呼ぶべき力が備わっていたことが分かり、そこから「レジリエンス」という言葉が広く普及し始めたそうです。

 

 

 

また、このワークショップには、アメリカで長年に渡り腫瘍内科医として従事し、緩和ケアやコミュニケーションに長けている白井敬祐先生も駆け付けてくださいました。

 

 

「機嫌よくぼちぼちやる」をモットーに掲げる白井先生。辛い時は「精神の筋トレ」と思って状況を切り抜け、いつも「機嫌の悪い医師」にはならないように、つっけんどんな看護師さんとも仲良くやっていく術など、コミュニケーションの真髄について教えてくださいました。

 

「きげんよくぼちぼちやる」をモットーに、辛い時は「精神の筋トレ」と思い切り抜け、「機嫌が悪い医師」にはならないよう、「つっけんどんな看護師さん」とも仲良くやっていくための術を教えてくれました。

 

 

 

また今回、白井先生のほかにも、オーストラリアのアボリジニ―の集落に住み込み栄養士として働き、現在は琉球大学大学院にて長寿の研究する傍ら、ゲネプロ研修生の英語指導をしてくださっているジャスミンさんや、高校時代から海外で生活し、国連や金融、NGOなど、様々な分野や領域で働かれてきた “評価の専門家” である津崎たからさんにも参加していただき、研修生との90分間の議論に加わっていただきました。

 

 

流石に集った面子が面子であるだけに、議論は一般論で終わることはなく、現実的な具体例にまで及びました。

 

 

例えば、白井先生は、「レジリエンスは個人的な問題として捉えられがちだが、“レジリエンスを持ったチーム” を創り上げるにはどうしたら良いのか」について深く語ってくださり、津崎さんもまた、高校時代からスイス、インド、アメリカ、イギリスなどを渡り歩いた経験を基に、「一人で出来る趣味をどう生き抜きに繋げるか」ということについて、ヨガを例にして講義してくださいました。

 

 

 

そして、ワークショップの最後では、ロナルド先生からマヌカハニーをプレゼントしていただく一幕もあり、自分自身を見つめ直す、深くて暖かくて、とてもあまーい時間となりました。

 

 

 

The second half of the first day began with the lecture by Dr. Ronald, who has ever engaged in the education of GPs at RACGP for a long time in Australia.

 

And, the main theme he set was: “the self-care ability for GPs”.

 

 

As soon as the lecture started, he gently began to hand out a piece of sliced apple with honey to each of the registrars. After everyone received the apple, he softly spoke to them and explained about the reason for his behavior.

 

According to him, the sliced honeyed apple is derived from the traditional Jewish New Year ceremony; it means “No matter how hard it is, let’s try to overcome the barriers you face with licking sweet honey”.

 

 

Then, he got down to the business and begun to offer a lecture on resilience and self-care, which is important for both patients and doctors.

 

 

 

By the way, in the first day, Dr. Shirai, who has been engaged in medical oncology in the United States for a long time, also joined in the workshop.

 

Actually he cleverly gave us a lesson based on his experience about how to get on well with others so as not to work as a grumpy doctor in the hospital.

 

 

Moreover, we held a 90-minutes discussion session in the workshop under the theme of today’s keywords, resilience and self-care. Everyone exchanged their opinions fervently, so the debate got peacefully heated eventually.

 

 

 

All thanks to everyone who were at the venue, the workshop finally ended with a huge success.

 

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