『ウェビナー報告日誌 2024 vol.3 ― 「プライマリケア」とは ―』

 

その包括性ゆえに定義も実践も容易でない「総合診療」という領域について、多角的・多面的なアプローチで理解の促進と技能の体得を目指すための『RGPJ』ウェビナー。

 

 

今回のテーマは、『プライマリケア』。自身も『Rural Generalist Program Japan(RGPJ)』の第一期生として、国内およびオーストラリアでの実践的な臨床経験を持つ石川 大平先生を講師にお招きしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

以下、講義より内容を一部抜粋してご紹介します。

 

 


 

 

 

「プライマリケア」とは?

 

彼らは「プライマリケア医」でしょうか?

 

A.

 

都市部のクリニックで小児から成人までほぼ全年齢層の診療をカバーする家庭医専門医。

初診・定期外来を担当。

予防医療的介入も欠かさず、ウィメンズヘルスにも強い。

 

 

 

 

B.

 

へき地診療医で内科医として勤務し、専門である消化器のほか内科全般の診療、

加えて小児科の診療も実施。受診主訴への都度対応が主で、

予防医療は系統立って網羅的に提供できているわけではない。

 

 

 

 

C.

 

離島病院勤務の傍ら、診療上に週1で出張している外科医。

とある若年女性の貧血患者の定期受診を診ている。鉄剤処方のみで過多月経の

鑑別・対応や他のプロブレムの洗い出し、予防医療的介入はない。

 

 

 

 

D.

 

急性腸炎で受診した患者を地方二次医療機関の夜間救急外来で診察する非常勤救急医。

帰宅翌日のフォローアップを依頼すべく、

かかりつけ医に診療情報提供書を作成している。

 

 

 

 

 

備考:

 

様々な考え方があるが、元来プライマリケアとは「専門性」ではなく「システム」を表す言葉であり概念であるため、上記はすべて「(狭義あるいは広義での)プライマリケア医」であると言える。

 

ただし、上記の例だけを取ってみても「包括性」という観点から見ると、「AはDと比較して、より包括的なプライマリケアである」といったような評価をすることは可能。

 

 

 

 

 


 

 

 

今や至るところで目や耳にするほど広く浸透するようになった一方、良くも悪くも言葉だけが独り歩きして、その解釈や定義においては曖昧さと複雑さの強まってきた印象さえある「プライマリケア」という概念。

 

 

その時々での観点や視点、身を置く文脈や状況に応じても“答え”の変わってしまう「プライマリケア」について、「日本とオーストラリアにおけるプライマリケアや総合診療」を比較しながら、改めてその定義や解釈についてもう一度見つめなおす時間となりました。

 

 

 

 

 

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