『ウェビナー報告日誌 2022「GP Road Map」編 vol.3 ― ジェネラリストのための緩和ケア ―』

 

GPとしても指導者としてもベテランの経歴を持つロナルド・マッコイ先生から、「総合診療」について包括的かつ体系的に学ぶためのウェビナー『GP Road Map』。

 

今回の講義は「緩和ケア」について。高齢化の進んだへき地や離島で働く医師とは特に切り離せないテーマを、ロナルド先生の豊富な実体験に基づいて深掘りしていただきました。

 

 

 

 

以下に、今回の講義から一部を抜粋してご紹介いたします。

 

 


 

 

緩和ケアの基本的な原則

 

▷ ジェネラリストとして求められるスキル

 

 

 ・良好なコミュニケーション

 

 ・治療計画

 

 ・症状緩和

 ・感情的、社会的、精神的なサポート

 

 ・医療的なカウンセリングと(患者への)教育

 

 ・意思決定への患者の参加

 

 ・介護者(ケアラー)へのサポート

 

 

 

備考:

 

症状緩和は、緩和ケアにおいても専門的な分野であり、「症状緩和に上手く対処できる医師」は「優れたジェネラリスト」だとも言える。

 

 

 

「緩和ケア」の範囲について

 

▷ 「癌」以外にも多くの症状が緩和ケアを必要に

 

 

 ・末期の臓器不全

   └ 心臓

   └ 腎臓

   └ 呼吸器

   └ 肝不全 など

 

 ・変形性神経筋疾患

 

 ・感染性疾患 (AIDs など)

 

 

 

備考:

 

 ・緩和ケアは、治療不可能な悪性疾患のためだけのものではない。

 

 ・以下の理由から、GPは緩和ケアを管理するの最適な人材と言える。

 

   └ いつでも頼れる

   └ 患者や家族のことを知っている

   └ 心理的・社会的サポートが受けられる

 

 ・緩和ケアチームにおけるリーダーシップをとることも、GPとしての役割の一つ。

 

 

 

緩和ケアにおける「難しい質問」①

 

▷ ほとんどの患者とその家族は、以下の質問への「答え」を求める

 

 

 ・何が悪いのか(症状について)

 

 ・医学的治療は助けになるのか

 

 ・今後苦しむことになるのか

 

 ・これからも治療を継続(担当)してもらえるのか

 

 ・あとどのくらい生きられるのか

 

 ・在宅での診療が可能なのか

 

 

 

緩和ケアにおける「難しい質問」②

 

▷「難しい質問」に答えるためのヒント

 

 

 ・優れたコミュニケーションスキルで心理的なサポートをする

 

 ・傾聴し、見えない”メッセージ”を汲み取ろうとする

 

 ・いつも通りに、率直に、熱意と威厳をもって患者に接する

 

 ・共感と思いやりを示す

 

 ・偽りの希望を持たせたりはせず、正直で簡潔に答える

 

 ・質問と理解のための時間を与える

 

 ・患者の希望(ニーズ)と文化(背景)に理解を示す

 

 ・身体的、心理的、精神的に患者を「一人の人間」として扱う

 

 ・起こり得る問題を想定し、備えておく

 

 

 

備考:

 

・「優れたコミュニケーション」を実現する上では、「患者の話にただ耳を傾ける」ことが非常に重要。患者の望むことについて話す機会を提供し、患者自身が「何でも話していいのだ」と感じられるようになれば理想的と言える。

 

 

 

「症状緩和」について

 

▷「症状緩和」における原則

 

 

 ・「原因究明」と「症状緩和」とのバランスを考える

 

 ・治療はできるだけシンプルに

 

 ・的確な病状の説明と治療を提供する

 

 ・定期的なレビュー(振り返り)を実施する

 

 ・頓服ではなく定時薬でコントロールする

 

 ・痛みの取れる適量を見極める

 

 ・補足的な保存治療を提供する(マッサージ、理学療法、作業療法、食事のアドバイス、リラクゼーション療法など)

 

 ・できるだけ緻密な管理を提供する

 

 

 

備考:

 

▷ 症状緩和における一般的な症状

 

 ・退屈(最も一般的な症状)

 ・孤独感 / 孤立感

 ・恐れ・不安

 ・痛み

 ・身体的、感情的、精神的、社会的な問題

 ・食欲不振

 ・嘔気と嘔吐、便秘

 ・その他の多くの症状

 

 

 

 


 

 

年内最後となった今回の講義では、ロナルド先生自ら筆で認められた年末年始のメッセージが、研修生たちへと贈られるというサプライズも。

 

日本文化をこよなく愛し学ばれ続けている先生の達筆ぶりも相まって、先生への感謝と称賛の言葉が飛び交う中、とても和やかな雰囲気で今回の講義は幕を下ろすこととなりました。

 

 

 

 

 

 

 

The GP Road Map, one of the RGPJ regular webinars for learning about general practice systematically and comprehensively from Dr. Ronald McCoy who is an veteran both as GP and educator, was conducted the other day.

 

This time, Dr. McCoy talked about “Palliative Care”; it is usually really important for and inseparable from rural GPs who work in highly aging society, such as Japan.  He dug into the theme and lectured about principal things to the registrars based on his extensive experiences.

 

 

By the way, Dr. McCoy is also a person who loves Japan and its culture so much. As a matter of fact, he had already been learning Japanese for long years.

 

At the end of the session, he surprised every registrars by a smartish present: an autograph Christmas message written in Japanese by ink brush.

 

 

Understandably enough, everyone appreciated it and applauded his well-schooled hand. Thanks to Dr. McCoy’s warm-heartedness, the last session in this year ended with warm smiles and laughter, eventually.

 

 

 

 

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