『ウェビナー報告日誌 2022「GP Road Map」編 vol.1 ― 外来診療を乗り切るためのコツ ―』

 

長年にわたり、オーストラリアのへき地で「へき地専門医(Rural Generalist)」として活躍されてきたロナルド・マッコイ先生から、「総合診療」の本質的な考え方や診療における実践的なコツなどを伝授していただく『GP Road Map』。

 

『Rural Generalist Program Japan(RGPJ)』の「第6期」としては初の定例ウェビナーとなった今回、「外来診療」という医師にとって”根幹”とも言えるスキルをテーマに、「総合診療医として押さえておくべきコツやポイント」についてお話いただきました。

 

 

 

 

以下に、今回の講義内容から一部を抜粋してご紹介します。

 

 


 

 

外来診療の目的とは

 

 1.受診理由をはっきりさせること

 

 2.良い治療をすること

 

 3.「医師・医者関係」をしっかりと築くこと

 

 

 

なぜ「外来診療のコツ」が必要か

 

総合病院での仕事に比べると、外来診療は非常に大変

 

 

 ・診療範囲の広さ

 

 ・長期の慢性疾患管理

 

 ・独りでの決断を迫られる

 

 ・時間との闘い

 

 ・診断における不確実性がある

 

 ・慣れない診療システム

 

 

 

備考:

 

離島やへき地においては、あらゆる年齢の、あらゆる背景を持つ、あらゆる症状の患者さんが、あらゆる時間にやってくることになるため、上記の点について「自分なりに対処するためのコツ」が必要となってくる。

 

 

外来ではどんなエラーが起こるのか

 

「コミュニケーションエラー」が最も多く起こりうる

 

 

 ・受診理由を確認しない

 

 ・その時点での診断を伝えない

 

 ・社会的・心理的要因を考慮しない

 

 ・感情に寄り添わない

 

 ・有効な時間管理をしない

 

 ・再診予約を取らない

 

 

 

備考:

 

医者が上記を怠った時、患者との間にコミュニケーションエラーが生じやすくなってしまう。

 

得てして患者の訴える「主訴」に気を取られがちだが、それが「本当の受診理由ではない」ことも珍しくないため、「真の受診理由」を聞き出す努力が求められる。

 

 

外来診療の型を身に付けることのメリット

 

 ・効率的

 

 ・効果的

 

 ・患者から好かれる

 

 ・患者から訴えられない

 

 ・専門医試験に受かる

 

 

 

備考:

 

外来診療の中身は、ほとんどが「患者とのコミュニケーション」。だから、コミュニケーションの「型」を身に付け、話にしっかり耳を傾ければ患者から好かれるだけでなく、効率的で効果的な診療を行うことが可能になる。

 

また、専門医試験の多くはロールプレイ形式の評価を行うため、「診察の型」を身に付けることは、実際の試験でも役に立つこととなる。

 

 

外来診療の型

 

 1.診察前の準備をする

 

 2.患者との繋がりを持つ

 

 3.受診理由を特定する

 

 4.診察をする

 

 5.不確実性を把握する

 

 6.問題点を説明する

 

 7.治療において患者と一緒に取り組む

 

 8.次回の再診予約とセーフティネット(安全策)の実施

 

 

 

備考:

 

上記の順序で診療の型を実施する際には、「時間の管理」についても常に念頭に置いておくことが重要。(オーストラリアの場合、一回の外来診療は、15分間が一般的)

 

 

診察前の準備

 

 ・大きく深呼吸をする

 

 ・以前に会ったことがあるか確認する

 

 ・前回のカルテを参照する

 

 ・難しい診療や気を遣った患者の後は、休憩を取る

 

 

備考:

 

外来の途中で、対応の難しい診療を行った際には、必ず休憩を取るようにする。

 

例えば、「手を洗う」という行為に集中したり、いつもより時間をかけて丁寧に洗ったりするような「ちょっとした休憩(micro break)」でも効果があるため、積極的に「ちょっとした休憩」を活用した方が良い。

 

 

 

 


 

診療は、何より系統的に取り組んでいくことが重要と、講義の最後で改めて強調されたロナルド先生。判断に迷った時などには指導医や同僚からフィードバックをもらいながら、とにかく多くの経験を積むことが、効率的に診療を行えるようになる最大のコツだと研修生たちを激励されました。

 

また、初めてすべて英語による講義に望み、時にサポーターによる通訳の力を借りながら、慣れない英語も駆使して積極的にロナルド先生に食いついていった研修生たち。講義後の「振り返り」の時間でも活発に感想や意見が交わされ、多くのことを吸収できた時間となったようでした。

 

 

 

 

 

 

 

The Webinar for fostering hopeful “rural generalists” in the making through the practical lectures by Dr. Ronald McCoy, an Australian veteran rural generalists, was conducted for the first time in this term the other day.

 

The main topic was “practical tips for surviving the general practice consultation”; Dr. McCoy gave a lecture about one of the important bedrock for any doctors.

 

 

Dr. McCoy pointed in the lecture that from hospital work to general practice setting is highly challenging. It is because everything differs dramatically from general hospitals to rural settings, including the breadth of clinical problems, the backgrounds of patients, the skills required, working practices and so on.

 

That is why doctors in rural settings have to acquire their own “model” for consultation in order to conduct efficient and effective general practice even in such a challenging situations, Dr. McCoy stressed.

 

 

Also, Dr. McCoy talked about the importance of continuous efforts to identify “the real reason” behind the patients see a doctor. Although doctors tend to focus at the patient’s chief complaint, they often receive a checkup by the reason they stated and usually it is much important for them.

 

So, Dr. McCoy lectured about practical tips not to miss those “real complaints” this time, and the registrars curiously listened to him so much.

 

 

As a matter of fact, there was a “language barrier” in front of the registrars. It seemed that, however, they had finally transcend it and absorbed the wisdom of a veteran GP.

 

 

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