『第2回手技強化ワークショップ、無事終了 ―The 2nd Workshop for Procedure Enhancement―』

2018/02/18

昨年7月に開催されたワークショップに引き続き、今回で第2回目となる手技ワークショップを、福岡県の秋本病院において開催いたしました。

 

ワークショップの幕開けを飾ったのは、へき地医療の整備が進む世界有数の国であるオーストラリアから、遠路はるばる駆け付けてくださったデイヴィッド・キャンベル先生とタルン・セン・グプタ教授のご両名。

オーストラリアのへき地医療の現在や実情などについて、ご紹介いただきました。

 

 

前回と同様、今回のワークショップも2日間にかけて開催されました。

会場では、内科や整形外科から、麻酔科に産婦人科まで、離島へき地で闘う総合診療医に求められる手技について、実際に最前線で活躍されている指導医の先生方が、惜しみなく研修生に伝授してくださいました。

 

以下に、今回のワークショップの概要について、簡単に紹介させていただきます。

 

1日目

■セッション1【内科】/ 指導医:西原崇創 先生

 

「皆さんに足りないものは何か?」

西原先生には、RGPJ第1期生が日常診療で診た症例について、オンラインカンファレンスを通じて定期的にフィードバックを頂いていますが、今回のセッションはその総括のような内容に。

 

西原先生による主導の下、様々なケースについて研修生とのディスカッションを実施。

 

研修生同士でも多角的なフィードバックを積極的に共有し合うことで、お互いに良い影響を与え合っている様子でした。

 

 

 

■セッション2【産婦人科】/ 指導医:山口純子・伊藤雄二 先生

 

「総合診療医に必要な産婦人科手技とは」

 

『甑島の一人診療所を守っているあなた。台風の夜、33歳、妊娠37週目のまなこさんが陣痛を訴えてやってきた。』

産婦人科のセッションは、『Dr.コトー』のとあるシーンから設定を拝借し、実際に研修生たちがその状況に置かれているという状況設定からスタート。

 

 

いつも快くゲネプロに力を貸してくださる山口純子先生のほか、今回は新たに恵那市立病院の伊藤雄二先生も指導に協力してくださり、実際に産科の機材を使用しながら、お産や産後処置の実践的なシミュレーションを行いました。

 

そして、セッションの最後を締めくくったのは、デイヴィッド先生とタルン教授からのお話。

オーストラリアのクイーンズランド州では、へき地専門医の基礎を固める基礎プログラムに3ヶ月間、「Advanced Specialized Training」と呼ばれる発展プログラムには1年間、産婦人科での研修が組み込まれているそうです。

 

■セッション3【麻酔科】/ 指導医:山口卓也 先生

 

「皆が持っておくと便利な麻酔関連手技について」

 

・ブロック手技も鎮痛も全部できる必要はない
・「使い慣れたもの」を持っておく
・「100点のブロックや鎮痛を目指さない」

 

 

第1回目のワークショップでは、手術室でどっぷり手を動かしてブロック手技を練習しましたが、今回は講義を中心の内容となり、研修生に短時間で伝わり易いよう工夫してくださいました。

 

ご自身の腹部や頸部、奥様である純子先生の足を使ったまさに「身を惜しまない」エコーの指導もありがとうございました!

 

2日目

■セッション4【内科】/ 指導医:岸川孝之 先生

 

「総合診療医に必要な胸部CT読影について」

 

このセッションは、とりわけ第1期生から要望の多かったものでもありました。

 

研修生のリクエストに応え、見分け難い陰影を判別する方法、些細な異常や違和感を見逃さないためのコツなど、CT読影の粋が凝縮された濃密な内容となりましたが、一方では、岸川先生の「研修生いじり」が光る笑いの絶えない講義ともなりました。

 

なお、岸川先生かつて医師3年目の時に上五島病院に赴任した際、「肺がんの専門家」として紹介されてしまったため、書籍や研究会、先輩への質問に症例検討の反復など、独学による研鑽の日々を送られたそうです。

 

 

■セッション5【整形外科】/ 指導医:一宮邦訓 先生

「総合診療医として身に着けておくべき整形外科的手技とは」

 

前回のワークショップでは座学となりましたが、今回一宮先生にはシーネ固定、ギプス、カットなど、実際に手と体とを動かしながらの指導をいただきました。

シーネが固まった時に細かな動きに影響しない巻き方や、ギプスをカットする際に開き方を見ながら力加減を調整する方法など、一宮先生の指導には、患者さんの身体の負担を減らすための様々な工夫が垣間見えます。

 

 

さて、ここで第1期生から共有された有意義な情報もご紹介。

お年寄りはカットの時にうっかり動いたりしちゃうので、カッターを持った手の指で押さえながらカットすると良いそうです。

また、通常シーネは、余裕を持った大きさに切った上で固定部位に合わせますが、包帯で長さを測ることによりコストダウンを図ることができるとか。医療費削減も小さな一歩から、といったところでしょうか。

 

そのほか今回、上記のほかにも、ワークショップの終盤では、デイヴィッド先生とタルン先生にリードしていただき、ACRRM(豪州へき地医療学会)の評価理念に基づいたディスカッションも行われました。

 

 

昨年4月の始動から約10ヶ月、今回のワークショップを単なる通過点とはせず、第1期生と現場の指導医から頂いた率直なフィードバックを今後の活動に活かしていきたいと思います。

 

また、第1回に続き、第2回ワークショップを無事に終えることができたのも、ひとえにご協力いただいたすべての方々のおかげであると、心から感謝しております。

 

そして何より、ワークショップ開催にあたり、快く会場を提供してくださった秋本病院の秋本亮一先生はもとより、事務長はじめ病院スタッフの皆様方、指導医として協力を名乗り出てくださった西原崇創先生、岸川孝之先生、一宮邦訓先生、山口卓哉先生、山口純子先生、伊藤雄二先生にも、改めて心から感謝申し上げます。

学会の合間を縫って会場に足を運んでくださった上五島病院の八坂院長先生も、本当にありがとうございました。

 

 

さて、第1期生の皆さん。2日間の集中研修お疲れさまでした!

当日は、記録的な寒波に見舞われてしまいましたが、今回のワークショップを通じて、皆さんが少しでも多くの物を吸収し、日々の激務からリフレッシュできていたなら嬉しく思います。

 

国内研修も残りおよそ2ヶ月。その後は、エレクティブ研修も待ち構えていますが、この勢いをそのままに一緒に頑張っていきましょう!

 

 

Thank you for everyone who have cooperated with us! All thanks to your sincere supports, we could totally make the 2nd workshop for the procedure enhancement a big success!

 

Actually, to the last workshop we held last summer, many supporters did something for us, including supervisory doctors and many staffs of the hospitals that provides on-the-job training to the RGPJ registrars.

This time, too, from across Japan and Australia, many people have again gathered at the workshop and extended a helping hand to us, thankfully. I would love to express deep gratitude for your invaluable kindness.

 

By virtue of devoted coaching and instructions, the registrars could absorbed various practical tips and enhanced the procedural skills through the workshop.

 

The gist of the each sessions are the followings:

 

The 1st Day

Session 1: Internal Medicine

Theme: “what you should acquire as a doctor”

・ground round of various and daily cases

・discussion based on the ground round

・general overview

 

Session 2: Gynecology and Obstetrics 

Theme: “gynecology and obstetrics for GP”

・lecture about the current situation of gynecology and obstetrics training in Australia

・simulation training with actual clinical instruments

 

 

Session 3: Anesthesiology

Theme: “anesthesiological skills that are good to know”

・learning how to nerve block anesthesia

・practical training of echography

 

The 2nd Day

Session 4: Internal Medicine

Theme: “lecture about interpretation of radiogram of chest CT scan”

・how to diagnose the shade that is tricky to distinguish correctly

・tips to be alert to the signs of small malfunction

 

 

Session 5: Orthopedics

Theme: “the orthopedic procedure for GP”

・training to master the way to use splint

・lecture about how to wear a cast

・intelligence sharing about tips on daily diagnose and procedure

 

 

In addition to these sessions, the special discussion session based on the evaluation approach of ACRRM(Australian College of Rural and Remote Medicine), supervised by Dr. David Campbell and Prof. Tarun Sen Gupta both from Australia.

 

 

Anyway, the fundamental training program in Japan is to be ended within two months; and the elective training both in abroad is scheduled to begin from this April.

I am sure that there will be difficult times. But, let’s strengthen our solidarity and stand firm together more!

 

 

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