北海道 オホーツクラインの診療所

稚内から網走を結ぶ国道をオホーツクラインと呼ぶ。

稚内公園には「9人の乙女の碑」がある。

 

昭和20年8月9日長崎原爆投下の日、戦意喪失状態の日本にソ連は宣戦布告をした。

8月15日の終結宣言以降もソ連の侵攻は止まず、

当時日本領だった樺太の真岡で9人の女子が自決した。

彼女らは電話交換手で、緊急避難勧告等の要である電話の傍を離れず

「もう最後です。皆さんさようなら」

という言葉を残し、自決したそうである。

 

日本の最北、そして最南のひめゆりの塔には、このような悲惨な話が残っている。

この場で政治の話をすることを躊躇するが、6日間の戦争参戦で戦勝国となり、

樺太及び北方四島を奪取したソ連には憤りを感じてしまう。

宗谷岬の丘には海軍の望楼が残っている。

100年以上も前の建造物だが、風雪に耐え当時の面影を今に残している。

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私は早朝6時30分に宗谷岬にいた。

何故なら、最北にある「最北端食堂」という店名のラーメン屋が

6時30分にオープンするからである。

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しかし店は閉ざされたままで7時を過ぎやっと暖簾がかかった。

ホタテラーメンが名物らしいのだが、

普通の塩ラーメンに普通のホタテが2個のっている代物であった。

しかし早朝一人で切り盛りをしているおばあさんの姿を見ていると、

今までのラーメン体験のうんちくなど、どうでもよいと思えた。美味しかったです。

 

宗谷岬を東側に南下すると猿払村である。

あまり知られていないが、ホタテの漁獲量は日本一である。

猿払村にはこれぞ北海道の道といわれるエヌサカ線があり、

遠方に見える地平線は空と一体化しており、まるで吸い込まれていく錯覚を覚える。

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以前この地域にはローカル線が通っていたが、石炭産業が衰退し、

また過疎化の勢いに押され多くの路線が廃線となった。

 

旧浅茅野駅の裏手に小さな診療所「猿払村国民健康保険浅茅野診療所」がある。

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Yahoo!ヘルスケアで調べると、この診療所は、火曜日の14:00~15:00が診療時間とある。

この後、このような

週一回のそれも限定された時間しか開院していない診療所があることを知るが、

医療施設の整っている場所が週6日無人化されていることに疑問をもってしまう。

 

オホーツク海に面した興部町から数十キロ走った内陸に、西興部村がある。

役場を訪ねると、診療所は村営で1,300人の村民を1人の常勤医が診ているそうだ。

診療所を含めた公的建造物が統一カラーで彩られ、同様のカラーの一般家屋も建ち並んでいた。

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このカラーにすると村から助成金が出るらしい。

しかし財政力指数を調べると、西興部村は北海道でワースト1位である。

詳細を知らないので多くのことは語れないが、このような村民に対する

助成金制度は、国から貰える地方助成金によって成り立っているとしか思えない。

 

紋別町でカニチャーハンが有名な「まりーさんの木」に行った。

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あるガイドブックには「惜しげもなくカニを使ったボリュームたっぷりな味わいを楽しめる」

と書かれている。店は繁盛していて期待値はさらに高まる。

カニチャーハンが目前に運ばれた瞬間、残念!やられた!と心で叫んだ。

 

「惜しげもなくカニを使う」・・。

 

私はこの言葉に魅了され、わざわざここまで来たのである。

確かにカニの量は多いのだが、私の「惜しげもなく」はこの倍を思い描いていた。

ガイドブックのライターに「これが私の惜しげもなくだ」と反論されたら、

法廷で勝ち目はない。

そもそもガイドブックとはこういうものであり、

「まりーさんの木」は何一つ悪くないし十分美味しいものを提供している。

器の大きい私は法廷闘争を想像しながら数分で完食した。

 

サロマ湖畔に湧別町芭露診療所がある。

昭和29年に「国保芭露診療所」として開設されているが、平成20年上湧別町との合併に伴い、

翌年10月に「湧別町芭露診療所条例」が湧別町から発令されており、

その第3条に「診療は、町長が認めた医師または医療法人等に施設を貸付し、

診療を委託するものとする」と記述されている。

同じ年に15km離れた場所にはJAが経営する

「ゆうゆう厚生クリニック」がリニューアルされた。

なんだろう?このちぐはぐ感は。

芭露診療所は、私が訪ねた時は人気がなく、いつからかはわからないが、

現段階では手を挙げた医療法人はなさそうである。
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北海道には内陸部に旭川や帯広等の大都市はあるが、

産業効率を考えれば沿岸部に人口が増えるのは致し方ない事である。

北海道の代表的な産業である畜産業や農業は観光客を集客する大きな要因の一つでもある。

鹿児島や長崎のような小さな島々を持つ地域とは異なる、

北海道固有のへき地医療政策が求められるのではないだろうか。

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