『ウェビナー報告日誌 2022「Registrar’s Lecture」編 vol.3 ― プライマリケア ―』
事例の共有や症例の検討などを通じて互いの研鑽を図ることを目的とした、研修生の研修生による研修生のためのウェビナー『Registrar’s Lecture』。
今回は、ともに上五島病院で研修中の高岡 沙知先生と松﨑 香子先生のコンビが共同で発表者を務め、「Communicator」をテーマとしたディスカッションが実施されました。
「Communicator」とは、「CanMEDs Framework」に掲げられている「医師の担うべき役割・備わるべき能力」の一つであり、そこでは「よりよい医療を実現するために必要な、患者やその家族との適切な関係性の構築」に関する能力や考え方などが示されています。
今回、両先生方による主導の下、研修生たちを二つの小さなグループに分割。それぞれのグループごとに、実際に自分たちが普段の診療の中で遭遇した「患者やその家族とのコミュニケーションで苦戦した・気まずい事例」に関する体験談の共有を行い、それを題材として今回のテーマについて議論が深められることとなりました。
出典:The Royal College of Physicians and Surgeons of Canada
なお、ウェビナーの最後には、全員での話し合った内容の共有タイムも設けられ、そういった難しい状況に直面した場合の対策や打開策についても共有が図られました。
以下に、共有された内容から一部を抜粋して紹介いたします。
・真摯に説明を尽くすことで、患者やその家族の方に納得していただくことがとても重要
・病状説明をこまめに行うことが大事
(どうなっているかが分からないと不安に苛まれてしまうため、患者だけでなく周囲の人ともしっかりと情報共有を図る)
・患者側の医者・医療に対する要望や診療イメージと、医者側の観点や考え方との間にズレが生じると「よくない」状況に陥りやすい
(しっかりと診察の際に話を聞いて、説明し、そのズレをきちんと埋めることが大切
・結局どんな問題・どんな状況であれ、「誠意をもって真摯な対応を尽くす」ことしかない
人が少なく、地域も小さいため、人と人との距離や関係が密で狭いものとなりやすい離島やへき地。
都会の大きな病院とは、また大きく異なる「患者と医者との関係性」が求められる環境で、どの先生方も「よりよい医療とは何か」について、日々頭を悩ませながら一歩一歩「答え」に向かって歩み続けられているようでした。
The other day, we conducted one of our regular webinar for registrars aiming at improving both skills and mind-sets of the registrars as rural GPs: The Registrars’ Lecture.
In the session, Dr. Matsuzaki and Takaoka played an role of presenters and they talked about “Communicator“, one of important abilities or roles that described in the CanMEDs framework.
The framework identifies the abilities required by physicians to effectively meet the health care needs of people they serve.
Also, Dr. Takaoka divided all registrars into two small groups and everyone shared their experiences related to or troubles caused by inadequate communication with patients, firstly.
Then, they took part in the discussion in order to seek the better solutions for preventing or minimizing those kinds of troubles in each group.
At the end of the session, they got together again and share the “answer” that they discussed.
Interestingly enough, both teams reached to almost the same “answer”: Nothing is more important to treat patients and families in an honest, sincere manner regardless of cause or circumstances.