『ウェビナー報告日誌 2022「GP Road Map」編 vol.2 ― 慢性疾患と慢性の病いの管理 ―』

 

オーストラリアのへき地での長年にわたる医療従事経験を持つベテランGP、ロナルド・マッコイ先生による体系的かつ実践的に総合診療を学ぶ『GP Road Map』。

 

今回のテーマは『慢性疾患と慢性の病いの管理』。とりわけ離島やへき地で働く医者とは切っても切り離せないとも言える分野について、講義をしていただきました。

 

 

 

 

以下に、今回の講義内容から一部を抜粋して紹介いたします。

 

 


 

 

「慢性疾患」と「慢性の病い」

 

慢性疾患

 

身体への影響が長期にわたる疾患、の総称

 

 

【 定義 】

 

医学的な管理は必要とするものの、日々の生活に大きな影響はない

 

例)高血圧、等

 

 

 

 

慢性疾患

 

疾患の存在や蓄積、および(あるいは)支援、機能維持、更なる身体障害の予防のためのあらゆる人的環境(人間関係)における障害、の総称

 

 

【 定義 】

 

患者の「身体的・社会的・精神的に良好な状態」や「日常的な動作」に影響を及ぼす

 

例)関節リウマチ、等

 

 

 

備考:

 

「慢性疾患」は時として安定することもあるが、「慢性の病い」は悪化の可能性がある。

 

 

 

 

ジェネラリストの果たすべき役割

 

「患者中心の医療」へのシフト

 

 ・外来診療の慢性疾患ケアモデル

  └「医師中心」から「患者中心」へ移行する

  └「個人の管理、慢性疾患、病い、障害と共存する生活」に重点を置く

 

 

 ・疾患の治療だけでなく「健康転帰」に注目する

 

 

 ・外来診療を含む医療システムは、求めらる医療に見合った適切なレベルに

 

 

 

備考:

 

病院に入院した場合と異なり、診療所の外来診療においては、慢性疾患の管理は患者自身が大部分を担わなくてはならないため、「医師中心」の治療から「患者中心」の医療に移行する必要が生じる。

 

あくまで主体は「患者自身」であり、外来診療においては、患者が日常生活に支障なく生きていくための手助けを行うようにする。

 

 

 

病い(illness)に合わせたケア

 

「慢性疾患のケアに求められるレベル」に応じたレベルの医療を提供する

 

 

レベル1:

 

 慢性疾患における「下位レベル」

 患者人口の7~8割を占める

 ・自己管理サポートが必要

 

 

例:

 

高血圧や喘息の薬を服用している患者。医師による手助けはあるものの、治療の大半は患者自身で行う自己管理。

 

 

 

 

レベル2:

 

 疾患リスクが高い

 疾患ケア・管理が必要

 

 

例:

 

このレベルになると、上記の自己管理に加え、外来診療や他の医療従事者からのサポートも必要になる。例としては、喘息の患者(通常は自己管理だけだが、症状が悪化すれば時々病院に通う必要が生じる)。

 

 

 

 

レベル3:

 

 疾患の複雑性が高い

 ケア連携が必要

 

 

例:

 

このレベルになると、ケア連携が必要に。認知症の患者など、多くのケアメンバーによるサポートが必要となる場合が当てはまる。

 

 

 

備考:

 

 ・上記とはまた別に、常に「予防」のための行為・施策は実施する

  例:糖尿病患者における血圧測定、禁煙・禁酒の支援等

 

 

 

「SNAPガイドライン」の活用

 

「SNAPガイドライン」 by RACGP

 

慢性疾患のケアにおいて重要な役割を果たす「生活習慣の管理」については、RACGPによる「SNAPガイドライン」がとても役に立つため、積極的に活用する。

 

 

 

 

患者による自己管理

 

生涯にわたり自分の病気と共に生きる患者に必要な自己管理 

 

 

 ・自分の健康状態についての知識

 ・ケアプランの順守

 ・意思決定における積極的な意見共有

 ・症状と兆候のモニタリングと管理

 ・身体的、精神的、社会的影響の管理

 ・健康的な生活習慣の実現

 

 

 

備考:

 

医師ができることは、その疾患の知識を提供したり、ケアプランの作成を手伝ったりなどの患者のサポート。意思決定の際には、積極的に患者にも関わってもらうようにすることが重要。

 

医師が常駐できる訳ではないため、慢性疾患の患者には、「自分の健康に責任を持つよう促す」ことも、医師の大きな役割。

 

 

 

 


 

講義の中で、「慢性疾患のケアにおいては、患者自身が、その疾患に関する最高の専門家である」と語り、またそうなれるよう適切に患者をサポートすることの重要性を強調されたロナルド先生。

 

そのために必要な知識はもちろん、長年の経験に裏打ちされた注意点やコツまでもが惜しげなく伝授され、今回も研修生たちにとって学びの多い充実した時間となったようでした。

 

 

 

 

 

 

 

The GP Road Map, one of our regular webinar series focusing on acquiring knowledge and enhancing the level of the registrars as GPs, was again successfully conducted last week.

 

This time, Dr. Ronald McCoy talked about “Managing chronic disease and Chronic Illness” ; both of them are really important for and inseparable from doctors, especially GPs in rural and remote areas.

 

 

In the lecture, Dr.McCoy often stressed the importance of the self-management by patient in terms of achieving good outcomes.

 

Patients is always the experts of the chronic diseases that they have and doctors should always give them appropriate supports so as to become so, he said.

 

 

 

Thankfully enough, Dr. McCoy shares practical tips bolstered by his long years of experience with the registrars as always.

 

So, the session was again so fruitful for the registrars and it seemed that they successfully harvested those “fruits” cultivated by Dr. McCoy.

 

 

 

 

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