『RGPJワークショップ 2019 夏の陣 ―RGPJ Workshop 2019 Summer ―』
「今年の夏のワークショップは、上五島で行いたいです」
ゲネプロにおける “夏の風物詩” となりつつある「夏のワークショップ」ですが、今年はチーフメンターである山口医師の一言で、ゲネプロ初の上五島開催と相成りました。
さらに、今回の講師陣を務めてくださったのは、すべて上五島病院関連の先生方。「場所」と「人」の両方が揃ったことで、とても上五島色の強いワークショップとなりました。
なお、毎度のことで本当に感謝しきりなのですが、今回のワークショップ開催にあたっても、非常に多くの方々からの手厚く暖かいご支援とご協力を賜りました。この場をお借りして、改めて心より深謝申し上げます。
さて、3期生の先生方が一堂に会するのはオリエンテーション以来のことでしたが、今回のワークショップは、互いの近況を報告し合う中で苦労を分かち合ったり、様々な情報を共有し合ったりする良い機会となったようです。
ひとしきり和気あいあいと交流を楽しんだ後、手始めに「プレテスト」に挑むこととなった3期生たちでしたが、「ワークショップを終えた後には、すべて正答できるようになっている」という目標設定の下に作成されたテストは、やはり少々難易度が高かった様子でした。
その後、ついに各科のワークショップが開始されましたが、今回は山口医師の要望により各科につき100分ずつの時間が設けられることとなり、講師陣による熱心な指導を通じて「へき地や離島で身に付けてほしい手技」が研修生たちへとみっちり伝授されました。
以下、各科ワークショップの様子について、簡単にご紹介いたします。
【産婦人科】講師:山口純子先生(上五島病院OG)
「妊婦検診は出来るようになってほしい」
「お産に遭遇した際も、慌てずに対応できることを知ってほしい」
という山口先生の想いから、毎回ゲネプロのワークショップでは産婦人科のセッションを設けています。
妊婦さんやお産は産婦人科の先生だけのものではありません。へき地や離島であれば、GPが関わることもあります。
「胎児が元気かどうか心配、と言ってきた妊婦さんに対して、胎児エコーでどこを診れば良いのか」
「お産は実際どのように進んでいくのか」
などについて山口先生が解説を行いながら、実際に上五島の妊婦さんにご協力いただきエコーを当てさせてもらったり、マネキンを用いてお産の流れと出産後の新生児の評価について学んだりしました。
今回は、研修生の中に研修病院で妊婦検診を担当したりお産をとったりされている経験をお持ちの先生もいらっしゃったため、例年よりもスムーズに進行できたようです。
【昼食 ランチョン】講師:安田貴明さん(上五島病院 放射線技師)
「ゆっくり昼食の時間だ」と思いきや、全員でCTの読影を行いました。
へき地や離島の病院では、CTはあっても読影については基本的に自分たちで責任を持ってって行わなければなりません。
上五島病院には数多くの優秀な技師さんが在籍しており、異常と思われる所見については担当医への進言も行われます。
最終的に診断を下すのは担当医ですが、その道の専門家である放射線技師さんからのアドバイスはどれも大変的確で、いつでもありがたいものです。
今回は、これまでに上五島病院であった症例から、
「是非診断できるようになってほしいもの」
「苦手な腸管の異常所見の読み方」
など、研修生たちが、読影に少しでも自信を持てるようなアドバイスを伝授して下さいました。
【外科】講師:八坂貴宏先生(上五島病院 前院長)、神田聡先生(上五島病院 院長)、一宮邦訓先生(上五島病院副院長)
「そういえば、縫合ってキチンと習った事って無いですよね?」
という山口医師の一言から、今回のワークショップでは、外科の先生方による「縫合」の場が初めて設けられることとなったのですが、圧巻はその講師陣。
これまで様々なものを結紮・縫合してきたであろうお三方に講師を務めていただきました。
また、縫合や運針の「型」をマスターするために、ガーゼを創に見立てて100分間ひたすら縫合を行いましたが、「自分たちが結紮した糸を講師の先生方が切る」という状況は、研修生の先生方にはかなりのプレッシャーになったのではないでしょうか。
そのような状況の中で、
「器械結びで糸が捻れないように結紮するには、どうするのか」
「創面の高さを合わせるには、どこに注意したら良いか」
など、「教科書にも説明は書いてあるけど、実際にはどうやるのが良いのか」ということについて、講師陣がまるで家庭教師の如く手をとって教える姿は、実に微笑ましいものでした。
【麻酔科】講師:山口卓哉医師(上五島病院OB)
「麻酔科の技術は、へき地や離島で働くGPにとっての大きな武器となる」
という山口医師の想いから、夏のワークショップでは毎回、麻酔科のセッションも設けられています。
また、今回は100分間も時間があったため、セッションでは恒例の「超音波ガイド下穿刺」に加えて、「気道管理」と「腰椎穿刺」についても学ぶことができました。
「挿管よりも大事なことは何か?」
「声門が観察しやすくなるちょっとしたコツ」
「患者さんに嫌な思いをさせない腰椎穿刺」
研修生の先生方には上記をテーマにして、実際にマネキンを使いながら処置のコツなどを体感していただきました。
【整形外科】講師:一宮邦訓先生(上五島病院 副院長)
「ギプスはシーネよりもハードルが高いと思われがちだが、GPには使える手段であってほしい」
との想いから、一宮先生には毎年ワークショップに登場していただいています。一宮先生によるセッションでは、研修生はお互いにギプスを巻き合うことで良肢位や良好な固定について学びます。
また今回、上肢と下肢のそれぞれについて「GPが遭遇しやすい外傷」をテーマに取り上げ、研修生はお互いに協力し合いながらギプス固定を体験しました。
その中で一宮先生は、
「自宅に帰った後の患者さんのADLを考慮した固定のために必要なことは何か」
についても伝授して下さいました。
なお、今回は一宮先生だけでなく、上五島病院の整形外科チームの先生方にも講師としてお手伝いいただきました。鶴先生、薦田先生、そして岡本先生、本当にありがとうございました。
10時から始まったワークショップが終了を迎えたのは19時頃でしたが、会場は心地よい疲労感と達成感に包まれていたように感じられました。
そして、「しっかり学んだ後は、しっかり楽しむべし」ということで、研修生は、講師の先生方とともに上五島の夜も満喫。
特別な一日を深く共有し合ったことも手伝ってか、懇親会はとても和やかな雰囲気の中で盛り上がり、笑顔と笑い声の絶えないとても素敵な会となりました。
そして、翌日は各々で上五島の海を満喫し、それぞれの帰路に就きました。
例年、海の日を挟んだ3連休は晴れることの多い上五島ですが、ワークショップ当日は大雨、翌日は曇天と、天気に恵まれなかったことだけが唯一の心残りだと言えるかもしれません。
ですが、熱心に指導にあたってくださった講師の先生方、ワークショップを通じて何か一つでも多く掴んで帰ろうと真剣に臨んでくださった研修生の先生方、そして滞りなく開催できるように大小無数のサポートをしてくださったすべての方々のおかげで、悪天候を物ともしない充実したワークショップとなりました。
We express deep appreciation for every supports and cooperation from anyone who have given great assistance and facilities to us!
We finally were able to made the workshop for doctors who had been striven to be a well-skilled GP succeed; And we are now definitely sure that this success is all thanks to everyone who stretched helping hands to us!!
Actually, the workshop was held in the Kamigoto island, a small remote island. This is our first time to run a workshop in a remote island, so it also provided many lessons and variable experiences for not only registrars but also us.
We would like to take this opportunity to reiterate our sincere appreciation for your continued supports and unfailing helps.
For your information, the gist of the workshop’s programs are as follows:
Session 1: Gynecology and Obstetrics
Session 2: Interpretation of Radiogram
Session 3: Surgery
Session 4: Anesthetics
Session 5: Orthopedics
After the workshop, we held a get-together at the local well-reputed Japanese style pub. Everyone shared pretty good times and a light laughter has filled with the pub from beginning to end.
And, it seemed to us that all registrars were able to improve anew their motivation to complete the RGPJ training program through the get-together, as well as the workshop.
We hope indeed that all of them use us in a positive way as a steppingstone to their own success and realize their goals finally. We are going to spare no effort in providing necessary assistance and cooperation.