『ネパールの碧い空 ―After An Inspection Tour to Nepal』
今回、日本プライマリ・ケア連合学会(JPCA)の国際関係委員の一員として、10月30日から11月9日にかけて、ネパールにおける医療の現状を視察してまいりました。
ネパール家庭医療学会(GPAN)との意見交換会にて
今回の視察における最大の目的は、ネパール家庭医療学会(GPAN)との意見交換会への参加にありました。
日本側の参加者は、私と楢戸健次郎先生の2名。楢戸先生は、長年ネパールの医療に携わって来られた方であり、GPAN側の面々とも親交が深かったため、終始和やかなムードの下、活発な意見交換が為されました。
一方で、ネパール側の参加者には、意見交換会の実現への窓口となってくださったGPAN会長のヤダフ教授をはじめ、総勢10名以上ものGPAN幹部の方々が列席してくださり、ネパールにおけるGP(総合診療医)研修プログラムに関する歴史や概要、そして現状の問題点などについて、2時間以上をかけて懇切丁寧に説明してくださいました。
なお、1982年にカナダ式の研修トレーニングを導入して以来、ネパールの環境や実情に合わせて洗練され続けてきたネパールのGP研修プログラムは、今や歴史ある専門領域となっています。
未だへき地が多く残存するネパールにおいては、外科系の医療技術が重要視されますが、外科系手技に強いGPの診療能力については、GPANの方々が一様に強い誇りを抱いているという印象を覚えました。
意見交換会では、本当に様々な意見が飛び交いましたが、「学会参加による交流や、指導医および若手医師の交流研修会などを通じて、ネパールと日本とが相互に学び合い、情報交換できる環境を構築したい」というのが、GPAN側から寄せられた要望の骨子となります。
また、今回の視察においては、ネパール国内の医療機関への訪問も行われました。
ヤダフ教授が学長を務めておられるパタン大学の附属病院、、およびその関連機関であるチャパガウン診療所においては、実際に現地のGPが診療する風景や教育の現場を直に見学。
さらに、歴史ある教育病院として名高いトリブバン大学病院の救急外来の回診にも参加させていただき、現場の指導医および研修医とも意見交換を行ったほか、楢戸先生が長年にわたり携わって来られたチョウジャリ病院を訪問する機会も得ました。
チョウジャリ病院に広がる碧い空
なお、チョウジャリ病院の視察については、JPCAではなくゲネプロとしての立場から行われています。
同病院については、RGPJ(Rural Generalist Program Japan)研修生の短期留学先の候補の1つとして考えており、病院関係者の方々とは、2018年4月からの研修派遣を念頭に置いた議論を交わしてまいりました。
さて、視察を通じて、朝と夜に行われる回診や医局全員での食事、日課のお祈りに勤しむ人々の姿、実際の臨床現場などの様子を拝見しましたが、「院長のケイレブ医師を中心に非常に良く団結しており、研修病院としては最適であると思われる」というのが、私の抱いた印象です。
ネパールの日常風景
到底ここには書き切れないほど、様々な出来事や出会い、そして気付きに満ちた11日間であったことは間違いありません。
今回の視察を通じて得られたものは、すべて今後のゲネプロとしての活動に還元したいと思います。
なお、事前の準備から滞在中の様々なサポートに至るまで、楢戸先生には本当にお世話になりっぱなしでした。末筆ながら、この場を借りて心より御礼申し上げます。
From October 30th to November 9th, I made an inspection tour to Nepal in order to visit and view current medical situations as a member of the International Relations Committee of JPCA(Japan Primary Care Association).
Well, the most important purpose of the tour was exchanging ideas and opinions about how to create and foster the system in order to train people to be a good GP with the members of GPAN(GP Association in Nepal) in the joint meeting, held under the aegis of NMA(Nepal Medical Association).
I participated in the meeting with Dr. Kenjiro Narato, who had been involved in the medicine of Nepal and been cultivating a relationship with GPAN members for a long time.
On the other hand, the number of participants from GPAN reached more than 10 people, including the president and executives. They kindly told us, thankfully, about what we wanted to know spending more than 2 hours.
Eventually, thanks to Dr. Narato’s many years of efforts, the meeting went over well in a cozy atmosphere; and we could exchange many ideas and various opinions each other at a good pace.
The following is the gist of the requests from GPAN to JPCA: “We would like to create environments, where 2 countries could mutually learn a great deal and exchange various information through intercommunion by participation in academic conferences or training workshops”.
By the way, this inspection tour included the visits to local medical institutions. So, I could visit some hospitals, clinics and universities with support from GPAN. I viewed and verified actual situations of education and medical examination there.
Moreover, I could get the opportunity to make a visit to Chaurjahari Hospital that was located at remote rural areas in the mountains.
Actually, I visited there not as a member of JPCA, but as the representative of Genepro in order to find out whether the hospital is really proper for training our RGPJ registrars to be rural GPs or not.
Anyway, this is my conclusion: Chaurjahari Hospital seems adequately appropriate for our purpose. I requested cooperation toward RGPJ and discussed the details of the plan with the hospital director.
Finally, I could learn plenty of things that I hadn’t known and arrived at much of awareness through the 11-days tour in Nepal.
I would love to give whatever I absorbed back to our future endeavors!