『ウェビナー報告日誌 2024 vol.4 ― 「プライマリケア領域の整形外科」 ―』
総合診療医として離島・へき地でも通用する実力を身に付けるための、『RGPJ』による実践的な学習ウェビナー。
「プライマリケア領域における整形外科」と銘打つ今回、『RGPJ』卒業生である蛯子 隼先生によるレクチャーが実施されました。
以下に、今回の講義から内容を一部抜粋してご紹介します。
▷ 「急性膝痛」フローチャート
1.まずは外傷(ぶつけた・捻った)? 非外傷?
2.関節炎所見は?(動かして痛い、腫れてる?)
A.外傷・関節炎所見なし・動かせる
⇒ 基本的に緊急の整形外科コンサルトは不要
B.それ以外の場合
⇒ 解剖学的に疼痛部位を検査・確認し、所見を絞り込み、
疑われる疾患ごとのアプロートを行う
3ヶ月間の対症療法にて改善が見られない場合、整形外科コンサルトを実施
備考:
・基本的に「即日」コンサルトが必要とされるのは「化膿性関節炎」のみ。
コンサルトが必要な「骨折」などの場合でも、基本的には「翌日」で可。
・膝に関しては、ぶつけたりしていなくても「捻っただけで外傷」扱いとなる点に留意。
▷ 腰痛の「RED FLAG SIGN」
・発症年齢が「20歳以下」または「55歳以上」
・時間や活動性に関係のない腰痛
・胸部痛
・癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
・栄養不良
・体重減少
・広範囲におよぶ神経症状
・構築性脊柱変形
・発熱
Red Flag Signで除外したい疾患
・圧迫骨折
・動脈疾患(腎動脈乖離・瘤破裂)
・脊椎圧迫(馬尾症候群など)
・感染(化膿性脊椎炎など)
・悪性腫瘍
備考:
・20歳以下の腰痛の場合は「脊椎奇形」、
55歳以上の場合は「悪性腫瘍・椎体骨折・大動脈解離」などが危惧される。
・「動くと痛い」腰痛は、基本的に危険度は低い。
「動かなくても痛い」には、大きな危険が潜んでいる恐れがあるので要注意。
・Red Flag Signに該当しなかった場合、
重大な病変が潜んでいる確率は「0.04%」程度とされている。
総合診療医のほか、整形外科の専門医としての知見に基づきつつも、かつての自分の経験を活かして「研修生側の目線」に立つことも忘れない蛯子先生。
専門医との連携を前提とした「プライマリケアの担うべき領域・役割」に焦点を当てた、目標を明確にする指導が印象的な時間となりました。