『ウェビナー報告日誌 2021「Registrar’s Lecture」編 vol.5 ― 症例検討 ―』

 

研修生ならではの目線から有用な症例の共有を行ったり、講演の議事進行を体験したりなど、研修生が主体となって実施されるウェビナー『Registrar’s Lecture』。

 

今回の発表者は研修生の山本将大先生が務められましたが、先生は実際にご自身が研修中に遭遇したある一つの難しい症例を取り上げ、その顛末が共有されることとなりました。

 

 

 

 

山本先生は今回、「意志表現のできる嚥下機能低下患者を看取られた症例」についてお話くださいましたが、当時の山本先生は苦悩と選択の連続に迫られたそうで、今回はその経験を共有出来たらという思いで発表に臨まれたようでした。

 

「積極的に何らかの形で栄養補給を行わない限り余命が幾許もない」、「経口摂取が理想だが、リハビリやトレーニングを含めて諸々あまり上手くいかない」、「患者さん本人の“本当の意志”を汲み取ることが難しい」という状況の中、どうすれば患者さんとその家族にとって、より良い治療や緩和ケアの提案ができるかについて、山本先生は懸命に模索されたそうです。

 

 

その中でも、先生が特に心を砕き、注意深い判断を求められることになったのは、患者さんの「意志決定能力の有無」について。末期せん妄や肉体的苦痛によるものか、感情失禁も強く表れる中、その時々で発言が二転三転する患者さんの“本当の意志・意向”を汲み取り、見極めることが本当に難しかったと先生は語られました。

 

患者さんの「本当の気持ち」に少しでも寄り添うべく、「臨床心理の4分割法」、「うつ病のスクリーニング検査」、「二質問法」、「診療看護師による介入」など、当時の先生に考えられ得る手段を駆使されたそうです。

 

 

 

最終的には紆余曲折を経て、「患者さんの意志」とその意志を尊重すると決めたご家族の意向を最大限に汲み取った選択を提示することができたそうですが、山本先生にとっては、自身の成長と課題を感じさせられた、特に印象深い症例となったようでした。

 

発表後のディスカッションの時間でも、過去に同様の想いを抱いたりされたことがある他の研修生方からも意見や経験談が共有されることとなり、今回のウェビナーも充実した内容となりました。

 

 

 

 

 

 

 

The Registrar’s Lecture, a webinar that the registrars take the initiative in conducting so as to encourage their own autonomy and capabilities as a doctor, was successfully held, the other day.

 

The presenter of the webinar was Dr. Masahiro Yamamoto, who has been working at Kamigoto Hospital; He shared his thought-provoking experience with others.

 

 

Actually, he talked about a dysphagic patient who can indicate his intention. He was frequently faced with pressures and difficult decisions in the case. according to him.

 

More precisely, the patient repeatedly changed his intention related to his therapeutic strategy, although no one could tell whether it came from delirium or physical agony. So, Dr. Yamamoto had to try everything in the book to fathom the patient’s real intention.

 

 

 

Eventually, Dr. Yamamoto achieved his goal and the patient chose palliative care at the hospital by common consent of the patient and his family.

 

This case made Dr. Yamamoto realize his developments and future subjects as a doctor. So, he had decided to share the case with other registrars in order to bring up issue, according to him.

 

 

 

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