『ウェビナー報告日誌 2020「GP Road Map」編 vol.1 ―総合診療における実践的な診察―』

総合診療の真髄について、オーストラリアのへき地にて現役のベテランGPとして活躍されているロナルド・マッコイ先生から教わる『GP Road Map』。

 

第四期生にとっては記念すべき初回となる今回は、「総合診療において診察を上手く行うためのコツ」がテーマに取り上げられ、「診察において患者とコミュニケーションを取る際に意識すべき点」について、ロナルド先生自身の経験に基づいた実践的な知見を共有してくださいました。

 

 

 

 

講義のすべてをここで共有できれば最高なのですが、それをするとやはりどうしても膨大な文章量になってしまうため、例の如く一部を抜粋して以下にご紹介したいと思います。

 

 

 


 

 

総合診療における診察の目的とは

 

 1.患者の症状について明確な原因を特定し、

 

 2.優れた治療結果を出すことで、

 

 3.患者と医者との間に強固な関係性を築き上げること。

 

 

総合診療においては、様々な患者や多岐に渡る症状にすべて対応する必要があるため、診療にもコツが求められる。

 

同様に、患者からの信頼を獲得することは、効果的な治療を実践する上で非常に重要な要素となる。

 

 

 

 

医師が患者から訴訟される原因について

 

医師が患者から訴訟を起こされる場合において、その原因としては「患者との意思疎通の不足(不全)」が最たるものとして挙げられる。

 

 

・患者が来院した理由を確認する

 

・可能な限り正確な診断を下す(暫定診断)

 

・患者の抱える社会的および精神的な要因を考慮する

 

・患者の感情面に対処する

 

・効果的に時間を管理する

 

・経過観察を行うための手配をする

 

 

診察において、上記の工程を疎かにする、患者との間でコミュニケーション不全が生じてしまうことになる。

 

 

 

 

「診察モデル」を持つ

 

診察においては、より効率的かつ効果的に診察を行うことができるようになるため、モデル(お手本)があった方が好ましい。

 

以下は、その一例。

 

 

 ・診察の準備を行う

 

 ・患者と通じ合う

 

 ・患者の抱える課題を認識する

 

 ・患者を検査する

 

 ・診療における不確実性を管理する

 

 ・問題について説明する

 

 ・管理におけるパートナーシップを形成する

 

 ・安全策を講じた上で経過観察を行う

 

 ・時間を管理する

 

 

 

 

診察前後の準備

 

【診察前の準備】

 

 

 ・大きく深呼吸をする

 

 ・患者と病院内外で面識があるかどうかを確認する

 

 ・前回の来院歴や最近の検査結果、連絡事項などについて見直す

 

 

 

【診察後の準備】

 

 

 ・難しい診察や感情を揺さぶられる診察の後は、休憩を取る

 

 

なお、休憩を取るという行為に関しては、例えば「いつもより長めに手を洗う」などといった “micro(ごく短い)” な休憩であっても効果があるため、積極的に実践することが大事。

 

 

 

 

患者と通じ合う

 

“How may I help you today? ”

 

 -今日は、どうされましたか?

 -今日は、私に何ができるでしょうか?

 

 

ただの「How are you?(ご機嫌いかがでしょう)」では挨拶として不十分。きちんと「患者が何故来院したのか」について、しっかりと確認することが大事。

 

 

 

また、診察においては、以下の点にも留意する。

 

 

 ・患者の話だけに注意を向け、しっかりと話に耳を傾ける姿勢を見せる

 

 ・最初の一分間は遮ったり注意を逸らしたりせず、患者に話し続けさせる

 

 

なお、「今日はどうされましたか?」という本題に入る前に、ちょっとした雑談などで会話の糸口を作ってあげることも重要。

 

 

ちなみに、あまりにも話が長くなってしまう時は、話のペースが落ちたところを狙って、こちらから本題の質問を投げかけるようにすると良い。

 

また、あまりに多くのことを話そうとするのには理由があるはずなので、「何が心配なのか?」とか「今日はどうして受診したのか?」などと、こちらから問いかけるようにすることも必要。

 

 

 

 

患者の課題を認識する

 

診察においては、患者の実際上の問題(problem)と、患者が抱えている課題(agenda)とが異なる可能性を考慮した上で、質問することが求められる。

 

 

例えば、実際に心臓に問題がある訳ではない場合にも、「胸が痛いということは、心臓に問題があるのかもしれない」と心配している可能性がある。

 

そのため、「他に何か話しておきたことはありますか?」などと質問し、診察のなるべく早い段階において、患者から情報を聞き出そうとすることが重要。

 

 

 

また同様に、患者の課題(agenda)を認識する上では、患者の抱える「ICE」をしっかりと確認することが大事。

 

 

  What do you think is going on?Ideas)

    自分自身に何が起こっているとお考えですか?

 

 

 - What are you particularly worried about? Concerns)

    特に心配されていることは何ですか?

 

 

 - What were you hoping to get out of the visit today? Expectations)

  (来院の結果として)今日はどうなることを期待されていましたか?

 

 

 

患者の抱える課題が何かを突き止め、それに的確に応えて挙げることが大切であるほか、患者に「隠された課題」が残っていないか念入りに確認することも重要となる。

 

患者の中には、本当に心配していることをなかなか口に出さない人も多いため、「今日は、他に何とかしてもらいたいことはありますか?」などと念を押すように確認することが大事。

 

 

なお、念入りに課題を確認することで診察が長引くことはない。むしろ、診察の早い段階で患者からすべての情報を引き出すことで、その後の管理計画の短縮にも繋がる。

 

 

 

 

診療における不確実性を管理する

 

診察において自問自答すべき5つの質問

 

 

 1. What is the probability diagnosis?

    可能性の高い所見は?

 

 2. What serious disorders must not be missed?

    見落としてはいけない重篤な疾患は?

 

 3. What conditions are often missed (the pitfalls)?

    見落とされがちな疾患(落とし穴)は?

 

 4. Could the patient have one of the classic masquerades?

    患者の症状が表出していない(別の症状が隠れている)可能性は?

 

 5. Is the patient trying to tell me something?

    患者は自分に何を伝えようとしているのか?

 

 

 

 

 


 

 

定期的に自分の診察の内容を見直し、積極的に自分のスーパーバイザーに相談してフィードバックをもらい、疑問に思ったことは仲間や同僚などに相談し、そこから多くのことを学ぶことが重要だと、講義の最後で改めて強調するロナルド先生。

 

医師の道を歩む限り切っても切れない「診察において患者とどう接するべきか」という基本にして真髄とも言える問題について、この先の長い医師人生の中でどう取り組んでいくべきか、その道標が提示されたような講義となりました。

 

 

 

 

 

Fortunately enough, the first webinar for the 4th RGPJ registrars, GP Road Map by Dr. Ronald McCoy, had successfully been held yesterday!

 

And, the theme of the memorable lecture by Dr. McCoy was titled as : Generalist Medicine – practical consulting or Practical tips for surviving the general practice consulting.

 

 

In the beginning of the lecture, all the registrars looked tense and they actually felt nervous, more or less, about their first ALL-IN-ENGLISH lecture. So, Dr. McCoy kindly always talked to and sincerely endeavored to tell the points of the lecture to them, putting some comedy into his talk.

 

Eventually, his tactics beard fruit and it seemed that the cause of the strained face on the registrars were gradually changing from strain into concentration.

 

 

 

Anyway,  Dr. McCoy often stressed the importance of the proper and effective way to communicate with patients in the general practice consultation. To fully understand the patient’s agenda and let the patients understand the explanation by Doctors is essential in order to conduct a better consultation, according to him.

 

Eventually, it seemed that the registrars were able to obtain a “road map” to good Rural Generalists through the lecture, .

 

 

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