『ウェビナー報告日誌「GP Road Map」編 vol.2 ―予防医療とヘルスプロモーション ―』

今回の『GP Road Map』では、「予防医療とヘルスプロモーション」をテーマにロナルド先生に教鞭を執っていただきました。

 

 

 

今回も、まずはオーストラリアにおける実情について説明した上で、予防医療やヘルスプロモーションを実際に行うために知っておくべき知識や手技について、豊富に用意されたスライド資料を使いながら解説してくださいました。

 

ロナルド先生によると、現在のオーストラリアでは、人口の90%以上が年に一度はGPに受診しており、予防医療やヘルスプロモーションにおいても、GPは非常に重要な役割を果たしているそうです。

 

以下に、今回の講義においてロナルド先生が強調・補足された点から一部抜粋して紹介します。

 

 

 


 

・糖尿病や合併症の予防など、疾病治療だけでなく予防対策までを含めた部分が、GPとして対処すべき領域。

 

 

・初期症状のうちに患者を診られるGPだからこそ出来ることがあり、いつも患者を診ているからこそ、様々な変化や症状にも気付くことが可能。どんな理由で受診した患者であっても、常に健康チェックを行うことが大事。

 

 

・患者の訴える症状への対処のみならず、併せて予防対策も実施することが重要。

 

 

・予防医療やヘルスプロモーションを行う際には、適切なガイドラインを活用することが大事。また、どんなガイドラインを用いるにしても、「地域の実情に基づいたもの」にすることが肝心。

 

 

・すべての検査を実施することは不可能なので、適切な検査を取捨選択して実施する必要がある。

 

 

 

 

・予防医療は、一次予防、二次予防、三次予防に分けられる。医師は三次予防について学ぶものだが、本当により重要なのは一次および二次予防の方。

 

 

・患者への予防に関する提言はあまり聞き入れられない場合も多いが、患者自身が不安に感じている場合には、提言を聞き入れやすくなる。病気の家族がいたり、家系的に病気のリスクがある場合などに、患者は不安を感じる。

 

 

・自分の症状を理解(自覚)しないと、患者は健康になるための努力をしないため、十分な説明を行うことが大事。また、患者のメンタルヘルスにも気を配ることが重要。

 

 

 

 

・スクリーニング検査を行う際には、病歴等をしっかりと意識して行うことが大事。過去の運動経験、仕事の内容、糖尿病、認知症、独り暮らしかどうかなど、様々な要素を考慮して行う。

 

 

・スクリーニング検査においては、年齢ごとの検査事項についてもきちんと把握しておくことが重要。

 

 

 

 

・子供のスクリーニング検査において実施される「Femoral Pulses(大腿脈拍)」の確認は、新生児における先天性の心臓病の有無を調べるために用いられるが、小児科医でも実施する機会は少ない。

 

 

・健康的な生活習慣を促進するためのガイドラインである「SNAP( S = Smoking / N = Nutrition / A = Alcohol / P = Physical Activity)」も便利。また、SNAPに加えて、 Sleep(睡眠)も大切。

 

 

 

 

・睡眠状況について質問するだけで、患者が鬱に陥っているかどうかを判別することも可能。

 

 

・患者側に生活習慣(行動)を変える気持ちの準備があれば、医師からの提言も受け入れてくれる。

 

 

 

 

その他、ロナルド先生は今回、実際に診療を行う上で役に立つツールやサイトについても教えてくださいました。

 

以下に、その情報についても共有させていただきます。

 

 

Australian absolute cardiovascular disease risk calculator 

 

心臓血管の絶対リスクを計算できる、とても便利なツール。豪GPは良く活用しており、様々なパラメーターや条件を変更することで、簡単に絶対リスクの計算が可能。

 

 

Centers for Disease Control and Prevention

 

子供のスクリーニング検査における総合的なチェックリスト。

 

 

The Red Book

 

オーストラリアの予防医療における代表的なガイドライン。

 

 

SNAP

 

患者に生活習慣の改善を促し健康増進を図らせるためのガイドライン。

 

 


 

 

ロナルド先生の丁寧かつ熱心な解説のおかげで、今回の講義もいつもと同じく非常に学びと示唆に富んだ内容となりました。

 

英語で繰り広げられる専門的な講義に研修生たちも終始真剣な面持ちで耳を傾けており、とても有意義な時間となったようでした。

 

 

 

 

 

 

One of our regular monthly webinars, GP Road Map was conducted last week. Dr. Ronald McCoy gave a lecture under the main theme of Preventative medicine and health promotion.

 

 

In the beginning of the lecture, Dr. McCoy introduced the current situation of preventative medicine and health promotion in Australia.

 

 

According to him, approximately 90% of the population have recently seen GPs at least once a year in Australia and GPs have now been playing important roles in not only preventative medicine but also health promotion.

 

 

 

He taught the registrars that now that GPs can make patients’ diagnoses in the early stage, there are many things that GPs should do in order to prevent patients from being sick or improve their health condition.

 

 

 

 

Then, he shifted a focus of the lecture to what GPs should know about preventative medicine and health promotion.

 

 

He shared the many practical approaches and tips that will be useful in the actual medical settings with registrars using a voluminous slide deck.

 

 

Actually, the contents of the lecture seemed to be a little difficult, so it also seemed to be a little difficult for the registrars to grasp what Dr. McCoy is saying. From beginning to end, however, all the registrars kept concentration and listened attentively to his lecture.

 

 

 

Thanks to Dr. McCoy’s devotion and registrar’s efforts, they looked they were able to spend a productive time again.

 

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA