『ウェビナー報告日誌 2023「Registrar’s Lecture」編 vol.2 ― 感染症 ―』
形式や内容にこだわることなく、様々な「研修生の成長に繋がる」レクチャーやセッションに取り組む『Registrar’s Lecture』。
今回は、かつて『RGPJ』に第三期生として参加され、現在は奈良県立医科大学の総合診療科で活躍されている大野 史郎先生を講師にお招きして、「感染症」をテーマに講義をしていただきました。
以下、今回の講義から内容を一部抜粋してご紹介します。
▷ 頭部
▷ 意識状態
└ 家族の感じる「いつもと何か違う」はだいたい正しい
▷ 画像検査で「頭部の感染症・熱源」が判明することは多くない
▷ 髄液検査をためらわない
備考:
「少しぼんやり、軽い頭痛」程度の症状でも、原因が分からず疑いがあれば、積極的に「髄液検査」を実施することが大事。
▷ 頚部
▷ しばしば見逃されやすい
▷ 頚部を診察する習慣がない
└ 「熱源スクリーニング」の胸部CTに含まれない
備考:
診察する際に、「発熱があるときにはとにかく頚部を触って確認する」習慣・意識をつけることが重要
▷ 偽痛風・CPPD
▷ 体軸関節にもおこる
└ Crowned dens症候群(C2歯突起周囲)
└ 椎体偽痛風・仙腸関節 など
備考:
高齢者のよくわからない発熱(随伴症状は腰痛・背部痛など今ひとつはっきりしない痛み。血液検査も、炎症マーカー高値くらい)の場合、NSAIDsを用いて反応性を診てみる、というのも一つの手。
▷ 高齢者で熱源がはっきりしない場合に
▷「痛い場所」をはっきり言わないことも多い
▷ 膝・足・手関節・上腕二頭筋長頭・股関節
あたりはルーチンにエコーで確認
▷ 細かい所見(痛風と偽痛風の鑑別、パワードブラーのgreading等)
は気にしない!
水が溜まってないか、痛がらないか、を確認
備考:
エコーで視認できれば「穿刺」が可能になるので、とにかくエコーを活用することが大事。
感染症の診療において最も重要な心構えの一つとして、『常に最悪の事態(worst scenario)が何かを考えておく』ことを、講義の最後に改めて指摘された大野先生。
『とにかく患者を死なせないようにする』──感染症の恐ろしさを熟知する大野先生が何気なく強調した、一見当たり前のようにも聞こえてしまう”指針”の重みを、しっかりと噛み締められるような時間となりました。
The Registrar’s Lecture, one of the RGPJ webinars providing the registrars with a wide range of opportunities to learn for expanding their potential as better GPs, was conducted the other day.
For this session, we invited Dr. Shiro Ono, who has been working as a GP at Nara Medical University and has a specialty of infection; as a matter of fact, he had once participated in and graduated from the RGPJ several years ago.
As is often the case with learning healthcare, his specialty also requires the learners not only extensive knowledge but also specialized experiences to master, so it is usually difficult to sift through and tell those highly professional information properly in bounded time.
As referred to above, however, Dr. Ono has considerable experiences both as a GP and an RGPJ registrar. Then, it seemed that he has been eventually very smart about sharing his specialty with them successfully and intelligibly, thanks to his dedication.