『ウェビナー報告日誌 2023「GP Road Map」編 vol.2 ― 検査の適正活用 ―』

 

広範で多岐にわたる領域に跨がる「総合診療」について、単なる「知識」を超えて実践的な「知見」や重要な「心構え」まで伝授していただく『GP Road Map』。

 

今回は「検査の適正活用」をテーマに、ロナルド先生の蓄積された実体験や経験値に基づいて、押さえておくべき要点や注意点について指導がなされることとなりました。

 

 

 

以下に、講義の内容を一部抜粋してご紹介いたします。

 

 


 

過剰検査について

 

過剰検査の起こる原因

 

  経験不足

 

  不確実性に耐え得るスキルがない

 

 

備考: 

 

上記に加え、「心配性」な医師ほど過剰に検査をオーダーしがちになるので要注意。

 

 

 

過剰検査の危険性

 

有病率と偽陽性

 

 

  ・診療所に来院する患者は、有病率が低い

 

  有病率が低い時、偽陽性が生じやすくなる

 

  ・偽陽性は、不要な追加検査へとつながる

 

  ・(結果的に)患者はますます不安になる

 

 

備考: 

 

スクリーニング的な検査をせず、検査項目は絞ること。患者を無闇な不安に晒さないためにも、多くの検査を一度に実施しないことが重要。

 

また、「検査における最大のリスクとは、低い有病率のときに、高い確率で偽陽性が生じる」ことだという意識を忘れてはならない。

 

 

過剰検査の理由 ①

 

過剰診断を引き起こすもの ①

 

 

  ・見逃すことで訴えられることへの恐怖

 

  ・医師の個人的な性格(不確実さに耐えられない 等)

 

  ・何事も多いほど良し、とする文化的信念

 

  ・リスクを考慮せず、「早期発見は常に良い」とする信念

 

 

備考: 

 

医療訴訟における最大の原因は、「医師・患者間でのコミュニケーション」の問題であり、診断の見逃しではない。

 

患者と十分なコミュニケーションを図り続けながら継続的に診療をしつつ、「何か臨床上の問題が生じたら検査をする」ことで、過剰検査を減らすことが可能。

 

 

過剰検査の理由 ②

 

過剰診断を引き起こすもの ②

 

 

  ・小さな異常でも検知できてしまうテクノロジー

 

  ・検査や治療が増えると収益も増える医療の仕組み

 

  ・ガイドライン利用の不足

 

  ・拡大した疾患の定義とガイドラインの内容との不一致

 

  ・商業的・専門的な既得権益

 

 

備考:

 

ガイドラインを適切に利用することで、過剰な検査を防ぐことも可能。総合診療医に限った話ではなく、医師は常にガイドラインを上手に活用しようとする意識づけが重要。

 

また、同じ疾患に関するガイドラインでもしばしば国ごとに内容に差がある点には要注意。それを踏まえた上で、自分に必要なガイドラインを日頃から確認することが大事。

 

 

適性検査のための戦略

 

総合的なアプローチ

 

 

  ・患者中心のコミュニケーション

 

  ・不確実性に慣れる

 

  ・ガイドラインや指針を活用する

 

  ・リスクを最小化する診断術を身に付ける

 

  ・検査の理由を明らかにする

 

  ・並行検査より連続検査を用いる

 

  ・実施検査の振り返りと監査を行う

 

 

 

参考資料・便利な学習ツール

 

 

NPS Medicinewise Learning

 

 適正な検査方法について学習するのに役に立つWebサイト。

 

 

Minds ガイドラインライブラリ

 

 無償で公開されている各種「診療ガイドライン」を検索・閲覧できるWebサイト。

 

 

『ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして』上田 剛士, 医学書院(2014)

 

 

 


 

「検査」はあらゆる診療と切っても切り離せないほどに”重要”で”有用”な技術である一方、適切に実施されなければ途端に”無駄”や、時には”害”にさえなりかねないという大きなリスクも。

 

長年そのメリットとデメリットと第一線で向き合い続けてきたロナルド先生の、多くの実体験を伴った指導や助言は、これから総合診療の道を歩んでいく研修生方にとって大きな収穫となったようでした。

 

 

 

 

 

 

 

The other day, the GP Road Map, a series of webinars focusing on learning principles and essences of general practice for any doctors, was conducted as always. 

 

In the session, Dr. Ronald McCoy talked about rational use of testing and the it is the main theme of the lecture.

 

 

 

As a matter of fact, testing is inseparably linked to any healthcare and usually it should bring about substantive benefits to not only patients but also doctors.

 

On the other hand, the improper use of any testing might be very harmful and it would easily occur if doctors didn’t know tricks and traps.

 

 

 

Fortunately enough, however, Dr. McCoy is a veteran GP in Australia, so his accumulated experiences cover the risk and the way to avoid it for certain.

 

As is always the case with him, Dr. McCoy freely shared what he had acquired as a doctor with the registrars, so they reaped a harvest throughout his lecture once again.  

 

 

 

 

 

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