「モンゴルのへき地病院」
2015/06/23
突然緊張が走った。「バギー!子供の意識がないから早く来て!」
息を切らしながら、近所のおばさんが病院に駆け込んできた。
バギーはすぐに家に往診に行った。一時的な意識消失だった。
バギーはこの村で生まれ育ち、モンゴル国立大学の医学部に進んだ。
現在2年目の医師であり、2000人の人口を医師である妻と2人で診ている。
リゾート地であるため、夏には人口が倍の4000人になるという。
内科や小児科はもちろん、落馬や交通事故の初期治療を対応する。
緊急のお産も年に数件はあるそうで、助産師と一緒に対応する。
患者が動けず、緊急手術が必要な場合は、外科チームを要請し、
この病院で手術をするという。
もちろんドクターヘリやフライングドクターシステムはない。
モンゴルの研修制度は、専門研修に入る前に最低2年間は家庭医として
どこかでプライマリケアに従事することが義務付けられている。
サポート体制もプログラムもない。医学生のうちに必死に勉強するらしい。
もちろんへき地医療の問題点は多々あるが、その過酷な環境で
悠々と働くバギーの持つこの貫録や落着きは何なんだろう。
村人の健康を一手に引き受ける責任感なのだろうか?
地元に貢献するという使命感なのだろうか?
少しでも一緒に仕事をしてみたいし、医学生や研修医と一緒に行ってみたい土地である。