卒業生 上垣内 隆文 先生
都市部の総合診療でもクリニック開業後も、このプログラムで学んだことが一番役に立っている
上垣内 隆文
Takafumi Uegaito
ゲネプロ2期生
卒業年度 | 2013年 |
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研修参加時 | PGY6 |
専門分野 | 家庭医療・在宅医療 |
研修病院 | 島根・益田地域医療センター医師会病院 |
卒業後 | 三重県津市の診療所で勤務医、所長を経て、2023年5月丸の内在宅クリニックを開業。開業後もRGPJ指導医としてウェビナーでの講義を担当。 |
都市でもゲネプロで学んだことが一番役に立っている
プログラム・へき地医療の良いところは何でしょうか?
当初は、総合診療医としての幅を広げる意味で「へき地・離島で戦える医師になりたい」と。その純粋な思いでこのプログラムに参加しました。
このプログラムが終わってからは、元々研修を積んでいた大学の医局に帰り、その医局人事で都市部の診療所に勤務となりました。すると都市部の総合診療でもこのプログラムで学んだ臨床的なスキルをしっかり活かす事ができたのです。
今は在宅をメインとしたクリニックを開業しましたが、訪問診療ですと、他院に通院困難な方の対応をしてゆきますので様々な科のスキルが必要となります。このプログラムで学んだことが一番役に立っているかもしれません。
益田市の開業医の先生方の力をお借りして
ゲネプロと提携する、島根・益田市医師会「親父の背中プログラム」に応募して下さいました。
私はもともとへき地医療に興味があり総合診療・家庭医療の専門研修を受けておりました。最終学年となった際に、まだまだ自分の臨床力では太刀打ち出来ないと考え応募しました。診療所というセッティングでは幅広い知識や技能が必要です。そのトレーニングをするために益田の開業医の先生方の力をお借りしました。
各科別け隔てなくディスカッションできる環境
医師会病院や開業医の先生方のもとでの研修はどうでしたか?
私は、益田地域医療センター医師会病院を基幹病院にし、午後からは曜日を決めて開業医の先生方のところで研修を行なっていました。私が勤務していたときの医師会病院は地域の亜急性~慢性期医療を支えている病院であり、内科、外科、整形外科、放射線科、リハビリテーション科、婦人科、病理科の常勤の先生方もおられ、各科別け隔てなくディスカッションできる環境でした。
また開業医の先生方のもとでは本当に多岐にわたる研修を受けました。(※驚きの研修内容の詳細はインタビュー全文を参照ください!)
その他、益田日赤病院、保健所等でも様々な研修を積ませて頂きました。
休日は山口県や広島県へ
家族のみなさんは益田市にすぐに馴染めたのでしょうか?
医師をしている妻は麻酔科後期研修を1年先延ばしにして益田市に来てくれました。益田市は生活に必要な物はすべて市内で揃います。
妻は、内科・小児科の開業医の先生の元でバイトをしつつ、麻酔科研鑽も積むため隣町の浜田医療センターまで汽車で通勤し麻酔科勤務をしておりました。休日は山口県や広島県に出て遊ぶ事も多かったですね。
世界のへき地に飛び込もうとネパールへ
選択研修はネパールに行かれましたね
世界のへき地に飛び込もうと思いネパールのへき地に選択研修で行きました。
ネパールの首都カトマンズからも空路で1時間、陸路で5時間程と遠く離れた場所にある病院に行きました。病院では腸チフスやA型肝炎、PIDなどの感染症のみならず、子供が木に登って転落したことによる骨折や帝王切開など様々な症例を経験しました。メディカルキャンプという病院からの出張診療のような形で、更に陸路(車)で5時間ほどかかるような集落に行き、そこの診療所で多数の患者さんの診察などもしております。
この研修では、住民の医療に対する様々な価値観や、SDH(健康の社会的決定要因)」について考えさせられる事も多かったです。
日本に帰ってきてからは都市部の診療所で家庭医をしていました。在日外国人も多く居住している地域で、ネパールで感じた事と同じような疑問にぶち当たることもあり…。その都度、多職種と解決策を考える活動をおこないました。それは開業した今も同じです。
在宅クリニック開業 ゲネプロの経験が役に立つ
ゲネプロの研修の経験は活かされていますか?
日本に戻ってきた後、診療所での勤務を経て2023年に在宅クリニックを開業しました。
益田で学んだ診療所というセッティングで対応可能な疾病を、在宅のセッティングでも対応しております。訪問診療の患者さんは基本的に通院が難しい方が多いのですが、湿疹であったり外傷であったり内科以外の様々な問題に対して一人で対応してゆく必要があり臨床面でもゲネプロ時代の経験が役に立っています。
プログラム応募に少しでも興味を持たれましたら、ぜひ一度へき地医療やゲネプロの門を叩いてみてください。
医師会病院や開業医の先生方、各科の詳しい研修内容など、詳しくお話を聞いた上垣内先生のインタビュー全編もぜひ参考にご覧ください。