プログラム設立の背景

学生時代に離島やへき地、海外や途上国での医療に憧れを持った方は多いはずです。しかし悲しいかな、その憧れは医師として経験を積んでいくにつれ、薄れてしまうのも事実。現場の忙しさや結婚、出産にともなう変化、離島や海外に飛び込むことへの不安など、多種多様な要因が夢への障壁となっているのかもしれません。今回、そのような夢の実現をサポートすべく、日本の離島へき地医療を牽引してきた指導医陣と、世界のへき地医療をリードするオーストラリアの指導医陣がタッグを組み、2 0 1 7 年4月より「日本版 離島へき地プログラム:Rural Generalist Program Japan」が7名の研修生とともにスタートしました。

‘Rural Generalist’は、広大な国土に多くの医療困難地域を抱える、オーストラリアで生まれたへき地医療に資する医師の概念であり、資格です。GP(General Practitioner)として診療所で働きながら、全身麻酔をかけたり、外科手術や緊急の分娩に対応したり、ある時はフライングドクターとして患者搬送を行うなど、オーストラリアのへき地で活躍しています。バックグラウンドは、総合診療医・救急医・麻酔科医・外科医・産婦人科医など様々ですが、2005年より本格的な研修プログラムとしてオーストラリアのクイーンズランド州で確立され、いまや競争率の高いブランド化されたプログラムとなっています。

オーストラリアへき地医療学会(ACRRM Australian College of Rural and Remote Medicine)をはじめとし、オーストラリア総合診療学会(RACGP Royal Australian College of General Practitioners)のへき地医療部会(National Rural Faculty)、オーストラリアへき地医師会(RDAA Rural Doctors Association of Australia)、へき地医療でオーストラリアをリードするJames Cook Universityの多大なるサポートにより、日本版プログラムのスタートに至りました。

このプログラムが、若い頃みた夢の実現に、また離島へき地の医療の充実の一助となるよう努力していく所存です。
Rural Generalist Program Japan, Founder/Program director 齋藤 学

 

プログラムの概要

日本の離島へき地で実際に研鑽を積みながら、遠隔指導を受けられる体制を敷いています。オーストラリアの指導医による各種レクチャーに加え、 専任講師による英語を中心とした「語学力強化プログラム」も用意し、オーストラリアの医療現場で通用する語学力および国際学会での質疑応答に対応できる語学力の習得を目標としています。研修修了後には、「オーストラリアへき地医療研修」や「グローバルヘルス研修」の期間を設けています。日本の離島へき地で培った臨床能力や語学力を、オーストラリアのへき地やバヌアツのジャングルクリニック等で思う存分発揮していただきます。

オーストラリアへき地医療学会(ACRRM)認定

このプログラムは世界のへき地で闘えるRural Generalistを育成する「オーストラリアへき地医療学会(ACRRM)」のプログラム認定を受けており、研修終了後に行われる各種試験に合格した暁には「Certificate of Rural Medicine」の認定証が授与されます。


豪州のへき地医療と総合診療医育成の現況(週刊医学界新聞)

プログラムのコンテンツ

Medical Knowledge & Skill Training

  • “Be a Better Doctor” (group discussion)
  • 日常診療の疑問点をオーストラリアのへき地専門医とディスカッションし、Rural Medicineのゴールドスタンダードを
    探ります。
    Sample 「Postcard from KANGAROO Island」by Tim Leeuwenburg

  • Webinar
  • 離島へき地に必要な「Knowledge」を日本人講師がオンラインにて講義します。

  • Workshop
  • オンラインでは身につかない「Skill」を集合型ワークショップで補います。
    オーストラリアのへき地医療コースを年2回日本で開催します。

English Training

  • “One to one” (private lesson)
  • 学会での質疑応答や、回診で議論ができる英語力を身につけます。

  • “G’day Mate” (group discussion)
  • オーストラリア人の講師と一緒に文化や日常生活についてグループ・ディスカッションをします。

Assessment

  • Clinical Visit
  • – MiniCEX
    診察の場面を実際に指導医が観察することで、その人の知識や技術、コミュニケーション能力や臨床判断などを
    総合判断できるツールです。

    – Case Based Discussion
    症例をピックアップして指導医と議論します。

  • Supervisor Feedback Reports
  • スーパーバイザーとの電話でのコミュニケーションにより、
    日々の診療のフィードバックを行います。

  • Presentation at Overseas Conference
  • based on research for Community Health Project
    下記オーストラリアのへき地医療関連の学会に参加し、オーストラリアのへき地の医師たちと交流を持ち、英語での学会発表の機会を設けます。
    RMA(Rural Medicine Australia)
    RDAQ(Rural Doctor Association Queensland)
    Rural WONCA

Elective Training

1年間の研修終了後には、短期留学(1-3ケ月)が可能で、下記施設の組み合わせは自由です。

  • Australian Rural GP Practice Training
  • Emerald (supervised by Dr. Ewen McPhee)
    Kangaroo Island (supervised by Dr. Tim Leeuwenburg)
    Thursday Island (supervised by Dr.Sam Jones)
    ※オーストラリアでの臨床を希望する場合には言語能力など諸条件をクリアする必要あり

  • Global Health Training
  • Vanuatu
    へき地医療、公衆衛生、熱帯医学で有名なジェームスクック大学の指導医がサポートするバヌアツの基幹病院や、ジャングルクリニック等で限られた医療資源での診療や公衆衛生を学びます。

    Mongolia
    モンゴルの家庭医療学会と連携し、移動するゲルを追いかける訪問診療や大草原でのへき地医療を経験します。

    – etc
    現在、フィリピンのレイテ島やノルウェーなどタッグを組める国、地域を引き続き開拓中です。
    対象となる国や地域をご存知の場合には自薦、他薦問わずご連絡ください。

  • Advanced Specialized Training
  • – 特に強化したい専門分野(産婦人科、麻酔科、整形外科など)の短期研修をアレンジします。

研修終了後

離島へき地の病院で勤務継続するのもよし、元の病院に戻るもよし、故郷で地域医療に着手するのもよし、オーストラリア留学にチャレンジするのもよし、可能な限りのキャリアパスを提供し、サポートいたします。