クリニカル・ビジット・レポート@島田総合病院

『小児科専門医の挑戦』

「医師歴10年を超え、家族も関東にいるのでさすがに離島には行けませんでした。
しかし大人も診れるようになりたいので応募しました。迷惑でないでしょうか?」

謙虚な小児科専門医。

沖縄県立中部病院で初期及び後期研修を終え専門医を取得。
その後小児科医として働くが、東北の震災後から大人も診れるようにならないと、と心の片隅にいつもあった。
ECGMEも最終面接を残すところまで取得。海外への希望もあった。

そんな矢先に、ゲネプロのRGPJを見つけ応募した。
場所は千葉県銚子市の島田総合病院

内科・外科・小児・産婦人科医・救急・麻酔の6科目を学ぶ「Core Clinical Training」プログラムを持つ。

病院は指導医がふたり辞め、院長を中心に忙しい。
研修病院のように徹底した指導はできない。
職員一丸となって医療を支える。
長年現場に立ち続けたスタッフが指導者だ。

透析回診は降圧剤の調整に頭を抱えた。
リンとカルシウムの掛け算は研修医以来だ。
新しい薬を辞書で調べまくる。

内科外来から腹痛の患者が来た。
「刺身を食べたって言うから先生アニサキスかもよ」
ベテラン看護師がささやく。
エコーに回すと超ベテラン技師長がアニサキスを指摘。
「やっぱりほら」内視鏡看護師がモニターを指差している。

ホッと一息。

開業医から紹介で心不全疑い。
風邪を契機に息苦しい。
EF18%。
食事が取れておらず脱水傾向。

うーん、循環器出身の院長に相談。

午後からは1kgを超える子宮筋腫の手術。
75歳のベテラン外科医が麻酔導入。
60歳の産婦人科医と大学からの応援医師が手術に。

ちょっと外来に呼ばれて手術室に帰ってくるとベテラン外科医が前立ちに。
あれ?応援の産婦人科医は緊急分娩に。
元気な赤ちゃんが生まれた。
会陰裂傷の縫合は次回出番かも。

透析管理、内視鏡のトレーニング、心不全の治療法、全身麻酔、正常分娩、そして婦人科手術…。

1日を終えて再度言う。
「やっぱり迷惑ではないでしょうか?」

院長が少し間を置いて答える。
「みんなで考え、みんなで知識を出し合い、みんなで患者のそばに寄り添う。
これがチームワークというものかもしれない。
チームワークでしかこの病院は成り立たないんだよ。」

チームワーク…。

今までは、何となく抽象的な表現にしか思えなかった。
あそこはあいつが支え、ここはあいつが支える。
個人個人の顔が浮かんで、真のチームワークが見えてきた。
このチームに入れば、1年後にはどれだけ成長できるだろうか?
小児科専門医の挑戦がはじまった。

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