『アダプテーション』

「メスはどう振るうかではなく、いつ握るかである」

「離島では勝てない試合はしない。すべきこと、そうでないことを見極める選球眼が必要だ。」

順天堂大学昭和46年卒業式の大先輩、宮上寛之医師は言う。徳之島で医療をして40年近くなる。ちょうどドクターコトーの瀬戸上先生と同じくらいの離島年数である。

 

ここには、有名病院の若手医師も数多く手伝いに来る。だから新しい知識もどんどん入ってくる。

Cook Book Medicine(料理本医療)と揶揄される最近の医療。新しい情報だけを身につけても血となり肉にはならない。医療の基礎って何だろう?解剖学?生理学?

 

父親と同年代の医師3人と酒を飲んだ。もちろん島酒は、黒糖焼酎。どのような歴史や経緯を経て、今の治療があるかを知ることは医師として大事な姿勢であることを、これでもかというほど、教えられた。いわゆる昔話や武勇伝では一切ない。離島で武勇伝をいくら話したところで、実力は一目瞭然だからである。胃潰瘍の治療の変遷や、HAMの発見の裏話、アフリカのHIVや血友病の話など、時間はあっという間に過ぎた。

 

離島医師のアンテナは驚くほど高い。もちろん勉強熱心だからであるが、それに拍車をかけるように「離島医療の怖さ」「医師としての原点」を常に認識する、させられる「環境」に身を置いているからであろう。

 

いろんな患者がやってくる。
いろんな治療が入ってくる。
いろんな医者もやってくる。

 

悩みは尽きないはずだ。それを物の見事に笑い、払いのける宮上寛之医師。

 

「僕たちは常にアダプテーションしてるから、ワハハハ!」

 

アダプテーション=順応、適応。この広い受け皿はすぐには備わらないだろう。

ローマは1日にしてならず。偉大なロールモデルがまたひとり現れた。

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